ゴー宣DOJO

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切通理作
2012.10.25 05:09

ゴーマンなヒーローの正体

「しょくん、きみたちは正義のヒーローを

いっぱい知ってるね?

 

スーパーマン、バットマン、

ウルトラマン、仮面ライダー、

アンパンマン・・・・・・

 

しかし、あれほど

自分の正義を信じて疑わず・・・・・・

 

相手を悪人と決めつけて

よーしゃなく滅ぼす奴らって・・・・・・

 

ほんとは自己中心的で

ゴーマンなやつらかも・・・・・・

 

まっこと、本当に

愛と正義のために

闘うヒーローがいたら・・・・・・

 

それは

こんなやつではないだろーか!?

 

 これは、なんと小林よしのりさんが20年近く前に描いた漫画

『ザ・ヒューマン』の出だしです(出帆新社『小林よしのり異常傑作選3』収録)。

 

 小林さんは、既に「ヒーローとは何か」

をテーマにした漫画を描いていたのです。

 

 ここで登場する「ヒューマン」は小さな子供の

姿ですが、スーパーマンばりの扮装でマントを

たなびかせ、空を飛びます。

(といっても、低空飛行しか出来ないのですが・・・)

 

「愛と正義の人」を名乗るヒューマンは、

漫画の冒頭、まず街中でひったくりに遭った中年女性を助けようとします。

 

 しかしひったくり犯のオッサンが

「み、見逃してくれ!

不況で会社が倒産して

家族がハラすかして

待ってるんだ!」と言うと、

 

 突然ヒューマンは号泣し

「この人は悪くない!

不況が悪いんだー!」

 と追手の警官をブチのめしてしまいます。

 

「根っからの悪人なんていないんだっ。

愛だ! 家族への愛をなぜ、

否定できる?っ!」

 

 こうして見逃した犯人が、

数日後今度は現金輸送車を襲い、

公園で美少女を人質にとります。

 

「ぼ、ぼくのせいだーっ

ぼくがあの時

あの男を見逃したせいで」

 

 テレビでその報道を見て

 急に反省したヒューマンは

現場に直行しますが、

 

やはりここでも犯人は

「ヒ・・・ヒューマン、

この金は

かわいそーな人たちに

寄付するために

盗んだのだ!

政府が何もしないから、

オレは強盗までして

寄付しよーとしているのだ!」と主張します。

 

ガーンとなったヒューマンは

取り囲んでいる警官隊に叫びます。

 

「泥をかぶってまで

人を救いたいなんて・・・

君たちにできるかーっ」

 

あげくの果てにヒューマンは

スーパーパワーを使って、

逃亡用の飛行機を用意しろという

この犯人の要求通り、飛んでいたジャンボジェット機を

強引に引っ張ってきます。

 

そのあおりで街には大破壊が起こり、

家々は木っ端みじんに吹き飛んでいくのです。

 

これには犯人さえ頭を抱えます。

「さ・・・さすがに

こんな大惨事になっちゃ

オレも良心がとがめるわっ!

もう自首するっ!」

 

ヒューマンは驚きます。

「ええっ・・・

なんてデリケートな人なんだっ!」

 

この小林さんの漫画には、

ヒーローの本質が鮮やかに書かれています。

 

それは、はた迷惑な人であるということ。

 

ウルトラマンが怪獣を倒しても、

そのあおりで街を破壊しているじゃないかと

ツッコミを入れる人がよくいますが、

 

小林さんはそこを極端にデフォルメして、

正義のために街が壊滅してもかまわない

というヒューマンの行動として提示しています。

 

「正義の味方」というのは、

文字通り「正義の側に付く」人のことです。

 

自分が正義だと思ったものの

側に付くのです。

 

現実にこのような人物がいたら

大迷惑ですが、

 

そんな大迷惑な存在を、

フィクションの中では

平気で受け入れている我々人間のおかしさを

この漫画は戯画化しているのかもしれません。

 

そう考えれば、

このヒーローの名前が

「ヒューマン」というのも、

納得がいきます。

 

人間、この不確かなもの。

ヒーローそのものが、

そんな矛盾を集約しているからこそ、

我々はそこに惹かれるのかもしれません。

 

ヒーローを求める心について

考えること。

それは我々人間とは何かについて

考えることなのだと思います。

第31回ゴー宣道場「サブカル・ヒーローの本質に迫る」

平成24年11月11日(日)午後1時 から
アットビジネスセンター東京駅八重洲通り にて開催します。

「アットビジネスセンター東京駅八重洲通り」
(住所:東京都中央区八丁堀1-9-8 明光商会本社ビル4階)は、
JR 『東京駅』八重洲口 より徒歩10分、
日比谷線 『八丁堀駅』
A5出口 より徒歩2分です。

毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

会場のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、http://abc-kaigishitsu.com/tokyo_yaesudori/access.html でどうぞ。

入場料は、お一人1000円です。

参加ご希望の方は、

往復はがき に、『第31回参加希望』 と明記、

さらに、


1.
氏名(同伴者がいる場合はその方の氏名と続柄・関係など)

2. 住所

3. 電話番号
4. 年齢

5.
職業(学生の方は学校名)
6.
募集を知った媒体
7.
応募の理由と道場への期待

返信はがきの宛名には、ご自分の氏名・住所をご記入の上、

152-8799

東京都目黒区目黒本町1-15-16 目黒郵便局・局留め

『ゴー宣道場』代表・小林よしのり、担当・岸端


まで、お送り下さい。

応募〆切

平成24年10/31(水)必着

当選された方にのみ当選通知を送らせて頂きます絵文字:記念日
当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

今回より、応募は

従来の応募はがきに加え、
このホームページからも
受け付けることになりました!!
↑のHPメニューの右端に
「道場参加申し込み」
というのができました!

これをクリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい絵文字:重要絵文字:メール

お申し込み後、記入されたメールアドレス宛に
「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。

申し込み〆切後、当選された方にのみ
「当選メール」を送らせて頂きます。

当選された方は、道場当日、

その「当選メール」をプリントアウトの上、

会場までご持参下さい。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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