ゴー宣DOJO

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切通理作
2012.10.23 23:48

こんなヒーローは許せない!

 次回の道場「サブカルヒーローの本質に迫る!」
 このホームページからの直接申込み受け付けも
始まりました。
 皆さん、ぜひおいでください。

 

 ヒーローの在り方は、
男女でも受け止め方の違いがありますが、
日本においては戦後社会という背景も
関係があるのではないかという声を、道
場門弟どうしで回しているMLの中からもらいました。

 

 もちろん、それはおおいにあります。
戦後のヒーローが、
自立的な正義を求めようとしないのは、
日米同盟下にあることも大きいということは、
よく僕も考えます。

 加えて
「あんなに大変なことは、さすがにもういい」
という戦争への忌避感覚。

 

 アンパンマンの主題歌歌詞
「なんのために生きるのか」が、
特攻隊で死んだ
原作者やなせたかしの弟のことを考えて
書かれたことからして、
「なんのために弟は死んだんだ」という、
戦争への疑問符から始まっている事がわかります。

 

 僕はやなせたかしの自伝を二冊読んだのですが、
アンパンマンは、明確にスーパーマンのような従来的な
「戦うヒーロー」へのアンチとして発想されたこと
がわかりました。

 

 やなせ氏曰く、
戦争体験として自分が一番大きかったのは
「飢え」である。
 
 カッコつけて敵と戦ってやっつけたって、
それがなんだ。
 飢えて死にそうな人に
パンをひとかけらでも与える行為に比べれば、
たいしたことないんじゃないか。

 

 これを日本の典型的な戦後型の思考として
批判するのはたやすいでしょう。
 まさに戦後レジームの中で飛ぶヒーローが
アンパンマンなのかもしれません。

 

しかし「飢え」など経験したこともない
カウチなネトウヨの皆さんの、
言うだけ好戦的な態度に比べれば、
はるかに実感のこもった意見であることは
疑い得ないでしょう。

 

 前回の道場で笹師範が言った、
日本軍の兵士の大半は、
たとえば慰安所など見たこともなく、
そこらへんの草がごちそうに見えるぐらいの
極限の中で生きていた
ということとも重なり合います。

 

 「僕の顔を食べて」と言う、
アンパンの顔したアンパンマンは
たしかに尊い自己犠牲の精神の持ち主でしょう。

 

 しかーし、自分には疑問がありました。
アンパンマンは、
いくら顔を食べられても再生してしまうのです。

 

 善意と言うのは、
自分も多くを持っていない人が行うから、
尊いのではないでしょうか。

 

 いくらでも食べ物が再生できるなら、
ケチな僕だって明日から配りまくりますよ! 

 

 こんなものを繰り返し見ていたら、
子どもたちはかえって、
生命も食べ物もいくらでも修復できるものとして、
ナメてかかってしまうのではないでしょうか。

 

 理由もなく人を殺す、
たとえば酒鬼薔薇少年のような
子どもが産まれたのもアンパンマンのせいだ!
っていうのは言い過ぎでしょうか?

 

 しかもアンパンマンが人気を博したのは
バブル期をピークとした、
飢えなどとは程遠い飽食の季節です。

 

 アンパンマンの丸い顔は、
戦後の肥え太った日本人の自画像なのではないか
というぐらい、
自分はアンパンマンが大ッ嫌いでした。

 

 アンパンマンが憎くて
夜も寝れなかったこともあります。

 

 しかし東日本大震災以来、
東北と行き来していた泉美木蘭さんから、
被災地ではアンパンマンが人気あり、
主題歌がラジオで繰り返し流されていると聞き、
僕の捉え方はちょっと変わりました。

 

 木蘭さん曰く、
アンパンマンが顔を再生できるのは、
ジャムおじさんというパン屋のおじさんがいるから。
ジャムおじさんを支える街の人々がいるから。
その<絆>自体がヒーローなのです……。

 

 うーん、なるほど。

 先の大戦以来、
ふたたび未曾有の国難に見舞われた日本人だからこそ、
アンパンマンが産まれた作者の原体験に近い地点から、
このヒーローの本来の意義が再生したのかもしれない。

 そんなことを、考えました。

 

 以前ある作家が、すぐれた作品は、
まるで予言していたかのように、
何十年先の未来と符合することがある
と言っていましたが、
人間の考えることって、
たとえフィクションでも、
やはりなにかそこに本質があるような気がします。

 

 ヒーローについて話し合うって、
けっこう楽しいと思うんです。

 僕も木蘭さんと話して、
大嫌いだったアンパンマンのことが
少し許せるようになりました。

 

 というわけで、
あなたの心の中にあるヒーロー、
その起源について、
一度考え直してみませんか?

第31回ゴー宣道場「サブカル・ヒーローの本質に迫る」

平成24年11月11日(日)午後1時 から
アットビジネスセンター東京駅八重洲通り にて開催します。

「アットビジネスセンター東京駅八重洲通り」
(住所:東京都中央区八丁堀1-9-8 明光商会本社ビル4階)は、
JR 『東京駅』八重洲口 より徒歩10分、
日比谷線 『八丁堀駅』
A5出口 より徒歩2分です。

毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

会場のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、http://abc-kaigishitsu.com/tokyo_yaesudori/access.html でどうぞ。

入場料は、お一人1000円です。

参加ご希望の方は、

往復はがき に、『第31回参加希望』 と明記、

さらに、


1.
氏名(同伴者がいる場合はその方の氏名と続柄・関係など)

2. 住所

3. 電話番号
4. 年齢

5.
職業(学生の方は学校名)
6.
募集を知った媒体
7.
応募の理由と道場への期待

返信はがきの宛名には、ご自分の氏名・住所をご記入の上、

152-8799

東京都目黒区目黒本町1-15-16 目黒郵便局・局留め

『ゴー宣道場』代表・小林よしのり、担当・岸端


まで、お送り下さい。

応募〆切

平成24年10/31(水)必着

当選された方にのみ当選通知を送らせて頂きます絵文字:記念日
当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

今回より、応募は

従来の応募はがきに加え、
このホームページからも
受け付けることになりました!!
↑のHPメニューの右端に
「道場参加申し込み」
というのができました!

これをクリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい絵文字:重要絵文字:メール

お申し込み後、記入されたメールアドレス宛に
「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。

申し込み〆切後、当選された方にのみ
「当選メール」を送らせて頂きます。

当選された方は、道場当日、

その「当選メール」をプリントアウトの上、

会場までご持参下さい。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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