ゴー宣DOJO

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切通理作
2012.10.20 23:20

ヒーローはアメリカのものなのか?次回道場で問う!

 僕は子どもの時、日本のスーパーヒーロー物を見ていて、
「どうしてこの人たちは、生身の人間の犯罪者を相手にしないのだろう」
と不思議に思っていました。

 ウルトラマンは怪獣や宇宙人としか戦わないし、
仮面ライダーはショッカーの怪人としか戦いません。
月光仮面の敵は超能力者ではありませんが、
「なんとか団」「なんとか党」を名乗る覆面をした集団の一員で、
消えたり出たりする得体の知れない人たちです。

 

 大人になれば、色んな事情もわかります。
 強いやつが普通のやつと戦っても
<弱いものいじめ>にしか見えないし、
ヘタすれば暴力礼讃や犯罪容認の誹りを受けがちだとか、

現実に予算的な問題として個々の事件でいちいち
役者や舞台を調達するのも大変だから、
キャラクター商品化出来ない・・・つまり売れそうもない
イレギュラーな要素はカットして合理化してるんだろうな、とか。

 だからドラマの作り手は、
スーパーヒーローとスーパー能力を持った敵に
世の中のすべてのものを集約させざる得ないんだろうな、とか。

 

 しかし、スーパーマンやスパイダーマンやバットマンは、
自分と同じスーパー能力を持っている敵とも戦いますが、
同時に、街にはびこっている
普通の人間の犯罪者から市民を守っています。

 

スパイダーマンは近年映画が三本作られたかと思ったら、
また今年『アメイジング・スパイダーマン』という新作をやって、
物語を最初から語り直しています。

 

 その都度作り直された物語のはじめに、
原作コミックにも共通したある要素があります。

 

 それは、主人公ピーターが犯罪を目にしても
「自分には関係ない」と見て見ぬふりをした結果、
育ての親のおじさんなりおばさんなりが
危害を加えられるなり殺されるなりする、という描写です。

 

 何度作り直されても、
ここだけは律義に守って作られているのは、
これがスパイダーマンことピーターにとってトラウマであるとともに
「力を持つ者の責任」を自覚する初期設定として、
非常にわかりやすいからでしょう。

 

 ヒーローとて一人で世の中の悪をすべてなくすことは出来ません。
けれども、このトラウマを設定することで、
彼が背負ってしまったものの非合理なまでの重さを表すことが出来る。

 だから彼が街の無法者を、それが誰であろうと見過ごしてはいられない・・・ということに説得力が生まれます。

 

 やはり、本来ヒーローに管轄はないはず。
 誰かが困っていて、観客が「捨ておけない」と思った時、
まさにやってくる存在。

 

 そしてその「責任」を自らに課し、果たそうとする存在。

 

 僕はまさにそれがヒーローものの語る、
現実にはない<夢>の部分だと思うのです。

 

 日本の場合はそれが物語の中には希薄で、
ヒーローの戦いはまるで職務か対処療法のように描かれます。

 

 僕は日本のヒーローものの
そういうある種ハードボイルドなところも大好きですが、
自分の中のヒーローを求める心が
一方で疼いているのに気付きます。

  

 せめてフィクションの中では、
合理性を越えた夢を見させてほしいと思うのですが、
なぜいまひとつそうならないのか、

これは物語の中の話だけでなく、
日本人の精神性にも
深くかかわっているのではないかと思うのです。

 

 しかもそれでいて、同じ日本人である自分が、
アメリカ発のそういうヒーローに夢を抱いてしまうのです。

 

 それはアメリカ人の罠なんでしょうか?

 彼らスーパーヒーローは、
アメリカの独善的な正義を、
甘い蜜として美化する世界戦略の先兵なのでしょうか?

 余計なお世話、の美しい言い替えに過ぎないのでしょうか。

 

 そうは思っても、どうしても惹かれてしまうのです。

 ヒーローに居てほしい、と思ってしまうんです。

 自分はアメリカに洗脳された、ダメダメな人間なのでしょうか。

 

 ヒーローものを社会学的に構造分析する
といった本はいままでもありました。

 けれども自分がまさに当事者として、
まさに日米に引き裂かれてしまうような体験として、
それを語るという経験は、
まだ多くの人がしていないのではないかと思います。

 

 僕はヒーローものを長年見てきて、
それについて書いたりもしてきました。

 しかし上記のことは、
一度ちゃんと考えてみたいと思っていながら、
機会をなかなか得られないできました。

 

 今回ゴー宣道場という、
ヒーローものについてマニアックに語る場所ではないところで、
視野を広げた形で問い直してみたいと思います。

 

 ヒーローものに興味のある人はもちろん、
ふだんから自分達が感じている「正義」や、
自分の中に「ヒーロー」を求める気持ちがあるのか、
あるとしたらそれはどういうものなのか、
ぜひ教えて下さい!

 

 もちろん「ヒーローこそが欺瞞であり、そんな幻想からはいい加減卒業すべき」だと思う人にも来てほしいです!

第31回ゴー宣道場「サブカル・ヒーローの本質に迫る」

平成24年11月11日(日)午後1時 から
アットビジネスセンター東京駅八重洲通り にて開催します。

「アットビジネスセンター東京駅八重洲通り」
(住所:東京都中央区八丁堀1-9-8 明光商会本社ビル4階)は、
JR 『東京駅』八重洲口 より徒歩10分、
日比谷線 『八丁堀駅』
A5出口 より徒歩2分です。

毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

会場のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、http://abc-kaigishitsu.com/tokyo_yaesudori/access.html でどうぞ。

入場料は、お一人1000円です。

参加ご希望の方は、

往復はがき に、『第31回参加希望』 と明記、

さらに、


1.
氏名(同伴者がいる場合はその方の氏名と続柄・関係など)

2. 住所

3. 電話番号
4. 年齢

5.
職業(学生の方は学校名)
6.
募集を知った媒体
7.
応募の理由と道場への期待

返信はがきの宛名には、ご自分の氏名・住所をご記入の上、

152-8799

東京都目黒区目黒本町1-15-16 目黒郵便局・局留め

『ゴー宣道場』代表・小林よしのり、担当・岸端


まで、お送り下さい。

応募〆切

平成24年10/31(水)必着

当選された方にのみ当選通知を送らせて頂きます絵文字:記念日
当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

今回より、応募は

従来の応募はがきに加え、
このホームページからも
受け付けることになりました!!
↑のHPメニューの右端に
「道場参加申し込み」
というのができました!

これをクリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい絵文字:重要絵文字:メール

お申し込み後、記入されたメールアドレス宛に
「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。

申し込み〆切後、当選された方にのみ
「当選メール」を送らせて頂きます。

当選された方は、道場当日、

その「当選メール」をプリントアウトの上、

会場までご持参下さい。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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