ゴー宣DOJO

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切通理作
2012.10.15 01:56

次回ゴー宣道場「サブカル・ヒーローの本質に迫る」について

 
  次回、第31回の道場のテーマ。「サブカル・ヒーローの本質に迫る」についてです。

  「サブカル」と頭に付くのは「現実にはいない」ヒーローを、文化として親しんでいるという程度の意味です。
  スーパーマン、スパイダーマン、バットマンと、架空のヒーローと想像の中で親しむ体験は、いまや「小さなお友達」の特権ではなく、大きなお友達のものでもある時代になったようです。

  アメリカで漫画として長年親しまれてきたヒーロー(「アメコミヒーロー」とよく呼ばれてますね)がハリウッド大作になって次々と公開され、日本人の多くは元のアメコミを知らなくても映画館につめかけ、DVDを見て、親しんでいます。

   
  今年『アベンジャーズ』という、アメコミのヒーローどうしが競演した映画が日本公開された時、「日本よ、これが映画だ」というキャッチコピーを掲げてバッシングを受けたことを、憶えている人もいると思います。

 「アメ公に『日本よ』『これが映画だ』などと言われて心底不快。絶対この映画だけは見ないと心に決めた。なんだ、バカヤロ。一回かそこら戦争に勝ったからって。しかし、これほど不快な惹句を他に知らない。日本のスタッフが書いたなら、そいつを探し出して二重橋前で吊るしたい 」(作家・矢作俊彦さん)

「『日本よ、これが映画だ』って、どんだけ上からなんだ? 原住民にビー玉売りつけてた植民地商人の心性そのまんまじゃないか。『土人よ、これが文明だ』、どこが違う? っていうか、これを考えたのが日本の配給会社なんだとしたらさらに悲しいですだよ。『日本よ、これがジャーナリズムだ」』かほざいてるニューヨーク・タイムズの元臨時職員の姿がカブりますだよ」(コラムニスト・小田嶋隆さん)

  この二人のツイッターでのつぶやきもあって、ネットの中でもバッシングの声が巻き起こったようです。

  でも実は、その少し前に、日本の仮面ライダーの劇場版のキャッチコピーが「世界よ、これが日本のヒーローだ」だったことは、それほど知られていません。

  やっぱりなんだかんだ言って、世界的に輸出されているアメリカのヒーローの認知度は、同じ日本人の中でも段違いのようです。

  僕の見てきた感じでは、ここ十年ぐらいはちょっと近づいてきましたが、従来、アメリカのヒーローの在り方は日本のそれとはだいぶ違っていました。

  大きな違いは、マスクを被って変装するにせよ、身体自体が組み換わって変化するにせよ、「変身」して強くなって、強い奴をブチのめして、女の子にモテるといった等身大の願望、ヒーローになった喜びが、日本のそれにはあまり見られないということです。

 
  もし街中で3~4人の不良にからまれ、カツアゲされたら、現実の自分は黙って従うしかない。でもヒーローになれば、パパッとそんな奴らを一瞬で畳んでしまえる。変身しているから後々面倒なことも起こりにくい。

  そんな願望が、アメリカのヒーローには比較的正直に描かれていると思います。

  
  日本のヒーローは、そうでないものもありますが、その多数は「悪の組織」やそれに準じる、ヒーローと同等の力を持つやつらが同時に発生していて、ヒーローはそれとの戦いがメインになっていきます。
 
  つまりすぐ抗争劇になってしまって、あんまり「ごく普通の人間に比べれば強い」ということに焦点が当たらないのです。

  そして、悪と闘い続けなければならない、たとえば改造されてもう元の人間には戻れないとか、そういうヒーローが負った「悲劇性」の方が日本の場合はメインに描かれていきます。

  で、実は「強いものが勝つ」とか「選ばれた人間だけで世界を統治する」といった、誰でも一度は思うような本音は、世界征服を目指す悪の組織の方が明確に持っていることが多いのです。あるいは近年では、個人の欲望が悪の力となって増幅し、それにヒーローが立ち向かうということがよくみられます。

  つまり日本において、ヒーローになるということは受け身の動機であり、仕方なく、やらざるを得ないからやっているものなのに対して、アメリカのヒーローには、もちろん悲劇性も持たせてはありますが、変身して超人になることの喜び、凱歌もほぼ同等に描かれているということを感じてきました。

 
  「強者になる」ということを、アメリカの主人公が引き受けているからではないかと思います。
  
  
   それは、スーパーマンは星条旗を背負えるけれど、日本のヒーローは日の丸を背負えないということとも関係するかもしれません。

  おおげさにいえば、戦後社会のあり方が、架空のヒーローのあり方にも影響を与えているのではないかということを、一度は考えてみたいと思っていました。

  「今度の道場はサブカルで何か考えてほしい」と小林よしのりさんに言われ、 思いついたのはそういうことです。

 
  
  ヒーローや正義というものを文化面から考えてみるというのも、面白いと思ったのです。
  
   
   

  


第31回ゴー宣道場
「サブカル・ヒーローの本質に迫る」

平成24年11月11日(日)午後1時 から
アットビジネスセンター東京駅八重洲通り にて開催します。

「アットビジネスセンター東京駅八重洲通り」
(住所:東京都中央区八丁堀1-9-8 明光商会本社ビル4階)は、
JR 『東京駅』八重洲口 より徒歩10分、
日比谷線 『八丁堀駅』
A5出口 より徒歩2分です。

毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

会場のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、http://abc-kaigishitsu.com/tokyo_yaesudori/access.html でどうぞ。

入場料は、お一人1000円です。

参加ご希望の方は、

往復はがき に、『第31回参加希望』 と明記、

さらに、


1.
氏名(同伴者がいる場合はその方の氏名と続柄・関係など)

2. 住所

3. 電話番号
4. 年齢

5.
職業(学生の方は学校名)
6.
募集を知った媒体
7.
応募の理由と道場への期待

返信はがきの宛名には、ご自分の氏名・住所をご記入の上、

152-8799

東京都目黒区目黒本町1-15-16 目黒郵便局・局留め

『ゴー宣道場』代表・小林よしのり、担当・岸端


まで、お送り下さい。

応募〆切

平成24年10/31(水)必着

当選された方にのみ当選通知を送らせて頂きます絵文字:記念日
当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

今回より、応募は

従来の応募はがきに加え、
このホームページからも
受け付けることになりました!!
↑のHPメニューの右端に
「道場参加申し込み」
というのができました!

これをクリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい絵文字:重要絵文字:メール

お申し込み後、記入されたメールアドレス宛に
「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。

申し込み〆切後、当選された方にのみ
「当選メール」を送らせて頂きます。

当選された方は、道場当日、

その「当選メール」をプリントアウトの上、

会場までご持参下さい。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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