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切通理作
2012.3.27 07:53

『原発はヤバイ、核兵器は安全』を正面から考える

 『原発はヤバイ、核兵器は安全』。このタイトルが意味するものに、もし反対の立場を取るとしたら、次の3つの立場しかあり得ないでしょう。

 

   原発も核兵器もいらない

  原発は必要だが、核兵器はいらない

  原発も核兵器も必要だ

 

1の立場の人は、たぶん平和の実現に関して理想主義。物騒なことは考えたくもないと、本書に対して基本的には「無関心」をアピールして批判の代わりにする。

この立場の人は本書のタイトルをツイッターなどで呆れたものであるかのように挙げるだけのことが多い。書評の文章で批判をするところまでも行きません。

 

2の立場の人は、現時点で本書に関してほとんどどこにも声を挙げていませんが、それも当然。要は、現状に対して、(積極的かどうかは別にして)容認的であればそのままこの立場になります。原発はあって核兵器がないのがいまの日本なのですから。

あえて言えばそれ以上考えたくない、考えてもしょうがないという、真の意味での無関心層ないしは諦観の持ち主が予想されます。

 

つまり、アマゾンなどで積極的にイチャモンを付けてくるのは、3の立場の人だけなのです。

要は、小林よしのりは弱腰だ、核兵器持つなら原発も覚悟せよ、放射能の害なんて気にしている奴はまともじゃない……という意見です。

しかしこれらの「積極的な意見」を言ってくる人は、実は本そのものを読んでないか、まともに読んでない人たちであることが丸わかりです。

 

原発というヒナをいくら後生大事に温めていても、核兵器にはならない……この小林さんの発言を受け止めた上でなければ、議論は積み上がってはいかないのではないでしょうか。

 

いまのままの日本では原発がある限り、核兵器を持てないのですから。

 

ここまで読んで、興味を持った方は、ゴー宣道場選書『原発はヤバイ、核兵器は安全』をぜひ直接読んでください。

いずれ来る「明日」の議論の前提に!

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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