女性宮家の創設に向けて、ようやく事態が動こうとしている。
このことを最も喜んでおられるのはどなたか、改めて述べるまでもなかろう。
ところが、女性宮家の創設には「難問」が山積していると言い募る向きがある。
どんなに難問があろうと、皇室の将来のためには断固として乗り越えて行く、というのではない。
体を張って、全ての責任を背負う覚悟で、正面切って反対ーーはしないけど、あれこれ難癖をつけて、うまく潰れてくれれば儲けもの、
といった卑怯で姑息なスタンスだ。
「9の難問」(『産経新聞』12月6日付)だの、「5つの超難問」(『週刊朝日』12月16日号)だのを並べている。
まともに扱う必要もないが、身辺繁忙の隙間にサクッと解答を示しておく。
まずは「9の…」から。
その1「女性宮に皇位継承資格は?」。
皇統をうけた方が皇族として皇室に留まられるのであるから当然、継承資格はある。
その2「継承順位は?」。
これまでの直系優先を変更する必要はどこにもない。
その3「女性宮家は世襲するのか?」。
世襲しなければ、結局、悠仁殿下の系統のみとなってしまうのだから、女性宮家創設は無意味になる。
その4「女性宮の配偶者は皇族になるのか?」。
通常の宮家と同様だ。
敬称も当然、同じ。
その5「女性宮家が一代限りなら…」。
一代限りでないので取り上げる必要なし。
その6「皇族費はどなたに支給するのか?」。
通常の宮家と同じ。
「独立した生計を営む親王」に支出する定額をご結婚後の内親王にも支出するだけのこと。
配偶者への待遇も、妃殿下と同様だ。
その7「女性宮の候補になる対象は?」。
内親王。
場合によっては女王に拡げる考え方もあり得る。
但し、既に皇籍を離脱して国民の仲間入りをされた黒田清子様は、心情的には甚だ残念であっても、
皇室と一般国民の区別をゆるがせに出来ないので、対象にはならないだろう。
その8「対象者全員に宮家創設を強制出来るのか?」。
一般国民(旧宮家系国民男子も含む)と違って、皇族の身分は皇室典範を根拠としている。
従って、典範の改正によって、女性皇族がご結婚後も皇室に留まって頂く制度を設けることは勿論、可能だ
(逆にどんな法律を作っても、当然ながら国民を皇室に入るよう強制することは出来ない)。
そもそも親王の場合、他の皇族に認められる自己意思による皇籍離脱(但し皇室会議の議を要する)という選択肢はない。
内親王もこれと同様とするということ(女王にも女性宮家を認める場合は自己意思に配慮すべき余地があろう)。
その9「自己意思を尊重した場合、勝手気ままになったり政治的思惑が介在しないか?」。
女王の自己意思に配慮したとしても、現行の自己意思(と皇室会議の議)による皇籍離脱と同様のケースになるに過ぎない。
次に「5つの…」。
その1「女性宮家の範囲をどうするか?」。
典範では天皇との血縁上の距離によって称号を親王・内親王と王・女王に区別している。
しかも上述の通り、親王と王の間には皇籍離脱を巡り厳然たる区別が既にある。
これと同様の区別を内親王と女王に設けても、これまでの制度が根本的に見直されるのでない限り、何ら問題とすべき理由はない。
その2「継承順位」。
既に述べた。
その3「配偶者は?」。これは制度上の対応が出来るテーマではなく、女性宮家に限ったテーマでもない。
その4「女性宮家のコストは国民に支持されるか?」。
国会議員1人に年間約1億円の国費が投じられている。
これに対し、天皇・皇后両陛下、皇太子・同妃両殿下、敬宮殿下で構成される内廷にかかわる費用が
(皇室祭祀の費用等々も含め)総額で3億円超、全宮家の費用が3億円弱に過ぎない。
国会議員をたった6人リストラするだけで全て賄えてしまう。
国民一人あたり僅か5円ほどの負担だ(政党交付金だけで国民一人あたり250円)。
このままでは宮家が全てなくなってしまうことが分かっているのに、これくらいの負担すら忌避するという国民が
どれだけいるだろうか。
その5「黒田清子様は皇室に復帰されるのか?」。
これも既に述べた。
何故これらが「難問」「超難問」なのか。
そっちの方がよほど難問だ。
何とか難癖つけようとしても、
この程度のものしか出て来なかったということは、逆に女性宮家創設のハードルの低さをわざわざ証明してくれたようなものだ。
『産経新聞』『週刊朝日』、ありがとう。
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