ゴー宣DOJO

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高森明勅
2011.8.8 13:07

2日連続で小林さんとご一緒して

8月6日、靖国神社境内において18〜39歳を対象とした特別講演会。

テーマは「われわれは英霊にどうこたえるか」。

第一部は小林さんと私の講演。

第二部では質疑応答。

私は前夜、小林さんの『戦争論』を改めて読み返した。

一気に読了して、感動抑え難く、なかなか寝付かれないのを無理矢理就寝。

翌日、その余韻が強烈に残るまま会場に入り、壇上で講演に及んだ。

為に、小林さんご本人がいる前で、見る人によっては過剰と感じられるほど、オマージュを呈する結果になったかも知れない。

だが、『戦争論』をもう一度、読み直した感銘の素直な発露だから、やむを得ない。

ちなみに今回、印象に残った箇所を一つだけ挙げると、280頁、特にその3コマ目だった(初版)。

小林さんはこの日、「近代に歯止めをかけよ!わしはたった一人になっても戦い抜く」と、熱く訴えられた。

ハッとしたのは、講演中「靖国神社で参拝する時、自分を省みて、いつも後ろめたさを感じる」とおっしゃったこと。

思わず我が身の傲慢さと鈍感さを振り返らされ、冷や汗が出た。

質疑応答では小林さんもブログで指摘されていたが、何人もの若者が、同様の質問を繰り返した。

日常の場面で孤立し、言葉が通じないというのだ。

これには、さすがに違和感を覚えた。

我々からの答えは、たとえそれが不十分だったとしても、既に与えられているだ。

だが、自分のことだけに精一杯で、他人のやり取りに全く無関心。

自分を他者に重ね合わせて考えてみることが出来ていない。

これでは他人に言葉が届かなくても、不思議ではないだろう。

この講演会の模様は後日、動画がアップされる予定だ。

講演会終了後、翌日ゴー宣道場が控えているのに、小林さんは「やすくに活世塾」の懇親会にわざわざ参加頂いた。

即席のサイン会のようになってしまったが、一緒に記念写真を撮ったりして、みんな大喜び。

その一方で、小林さんがお疲れにならないよう、サインや写真をねだるのをじっと我慢していた者たちもいて、健気だった。

翌日はゴー宣道場。どんな内容になるか、いつも以上に見当がつかなかった。

果てしなく低俗かつ軽薄な議論に陥る可能性も十分ある難しいテーマだ。

ところが、前半が終わった休憩時に、小林さんから「高尚になり過ぎ。もっと身近な切り口を」との声が。

そこで、控え室で切通さんと他の三人で意見の分かれた「男女で旅行に行って…」という例の話を、後半の枕に持って来ることに(この点についての笹さんの意見は聞いていなかった!)。

アンケートを読んだ限りでは、参加者の皆さんには結構、満足して頂けたようだ。

「今までで一番笑った」と書いていた方も。

確かに私も、今回が一番笑ったような気がする。

笑いながら、我々師範の本音もかなり出せたし、自分自身にも得るところが多かった。

こんなテーマを提案された小林さんに脱帽。

今回たまたま、小林さんと2日連続で同じ行事に参加させて頂いた。

そこで改めて痛感したのは、この人はただ天才というだけでなく、自分の仕事(広い意味での)には決して手を抜かない方だな、ということ。

妥協なく、いつもギリギリまで、最高最善を目指す。

その積み重ねが、現在の「小林よしのり」という巨大な存在を築き上げた。

ゴー宣道場が16回(プラス道場生のいない1回)を数えて、いささかもマンネリに堕さず、どんどん新鮮で刺激的になっているのも、小林さんのこうした「より上」を狙う飽くなきチャレンジ精神が、ベースにあるからだ。

とても真似しようもないが、ものごとに立ち向かう大切な姿勢を、今更ながら自分なりに学べたような気がする。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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