ゴー宣DOJO

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切通理作
2011.6.20 11:39

保守こそ脱原発を

かつて反核運動の盛り上がりのあった
1980年代、もう日本の多くの若者たちは
政治に興味を持てなくなっていました。

貧乏くさい学生運動なんか
流行らなくなっていたのです。

それぞれ自分の好きなことをすればいいという
個性の時代、多様性の時代に入っていました。

当時すでに30代になっていた全共闘世代の
サヨク論客自身、豊かな時代の個性尊重主義に
首までどっぷり浸かっていました。

そこで彼らはこういう論法を編み出しました。
核戦争が起きたら、いまある僕たちのこの豊かな、
個性尊重の楽しい生活が守れなくなっちゃうんだよ!と。

つまり、身を削って清貧に甘んじるような生き方はもう流行らない
と考え、若者にアピールするために、
あるいは自分たちの問題意識と
いまの生活の快適さに浸りたいという欲望の肯定を
共存させるために
「豊かな生活を守る」という
なんの覚悟もいらない現状維持型の平和、
および生命尊重主義を打ち出したのです。

あれから三十年近くたちました。
サヨクの反原発派は、
同じようなことをまた言っています。

原発なんかなくても、
他のエネルギーで代替すれば、
今までどおりの生活が維持できると言っています。

はたしてそうでしょうか。
どんなエネルギーだって限りがあります。
小林さんや佐伯さんの言うように、国際競争力だって落ちるでしょう。

いま、保守こそ口にできる
脱原発を掲げ、問題を先延ばしにすることなく、
近代を脱却すべき時です。

いまわれわれに問われているのは、
このままの生活が維持できなくなっても、
「少ない確率」に押し込め忘却し先延ばしにしていた
我々の共同体および国体そのものが
根こそぎ奪われるかもしれない
危険を懐胎し続けるのかということです。

現状維持のための言説ではなく
日本の将来そのものを
選び直すための
覚悟ある選択。

危機的状況は、それが出来るかもしれないという
希望でもある。
希望の国・日本の再生を!

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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