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高森明勅
2011.2.26 08:59

「あさなぎ」勉強会

2月20日、靖国神社崇敬奉賛会青年部「あさなぎ」第9回勉強会。

この勉強会では、このところ毎回、戦友の方々をお招きして、戦争体験を伺っている。

今回は、陸軍士官学校を卒業され、鉄道連隊士官としてビルマで泰面鉄道の建設などに従事された方。

熊谷陸軍飛行学校を卒業され、少年飛行兵となり、B24を撃墜、B29に損害を与える等の戦果を挙げられた方。

海軍兵学校を卒業され、陸上爆撃機「銀河」搭乗員、航空隊分隊長などを歴任された方。

府立一中から海兵団を経て、駆逐艦「潮」の乗組員としてレイテ沖海戦を経験された方。

以上の4人の方々にお話し頂いた。

一番若い方で85歳、最年長は92歳だった。

でも皆さん矍鑠とされ、記憶も鮮明で、言葉もはっきりされている。

参加した「あさなぎ」のメンバーは58名。

第1部は4つの班にわかれて、戦友の方と「膝を交える」ような近さで、詳しくお話を伺う。

私は全ての班を巡った。

第2部は私が取り仕切って、各班の代表が伺った話の要旨を発表した後、班を越えて、戦友の方々に質問し、お答え頂いた。

戦病の為にシンガポールから内地に送還される途中、船がアメリカの潜水艦の雷撃で沈没し、13時間も漂流しながら、捕虜たちが全員助け出されたのを見届けて、最後に救出してもらったという体験談は、当時の日本軍人の見事さを、参加者に強く印象付けた。

また別の方は、空中戦闘は何度経験しても、いつも怖かったと語りながら、機体の大きなB29を攻撃する時は、自機の安全を図る為、斜め上方から攻撃するのが定石なのに、それでは敵に十分損害を与えられないからと、真正面から攻撃して被弾しつつも、相手に大きな損害を与えたという話を淡々とされていた。

これも、かつての日本人の勇敢さをリアルに伝えてくれる。

お一人は、控えめにこうおっしゃった、

「亡くなった戦友が今の日本を見たら、ちょっとこんなはずじゃなかった、と言うかもしれない」と。

参加した防衛省の事務官をしている若い女性が、「お話を伺っていて、恥ずかしくて仕方がなかった」と、感想を語っていた。

今回も「あさなぎ」のメンバーにとって得難い勉強の場になった。

ご参加頂いた戦友の方々に、改めて深甚の感謝の意を表したい。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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