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高森明勅
2011.1.10 13:42

『別冊正論』が「女系容認論」を推進?

『別冊正論』の「皇室の弥栄…」特集号を丁寧に読んだという知人から連絡をもらった。

彼はこれまで、皇室典範改正問題に特に深い関心を持っていたわけではない。

私が従前、どんな議論をしてきたかも、殆ど知らないはずだ。『新天皇論』を既に読了しているかどうかも、知らない。

でも興味深いのは、今回『別冊正論』を読んで、つくづく「女系容認」しかないことが分かったと言うのだ。

誤解のないように言っておくが、同書は小林さんへの批判を主な目的にしたような内容で、いわゆる「男系派」の代表的な論客の力の入った論文がズラッと並んでいる。

私の何年も前の旧稿が再録されているのが唯一、例外的に女系容認の立場を示しているくらいだ。

なのに何故、彼は女系容認論の妥当性に目覚めたのか?

『別冊正論』掲載の男系派の力作、労作をいくら読んでも、男系限定で将来にわたる安定した皇位継承を確保する為の具体的、現実的な打開策が一切、示されておらず、殆ど「神風」頼みのような姿勢に終始していたからだそうだ。

これなら女系容認しかないと納得したらしい。

どうやら今回の特集は、標準的な読解力を持つ冷静な読者には、編集者の意図とは裏腹な読後感を与えているようだ。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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