『別冊正論』の「皇室の弥栄…」特集号を丁寧に読んだという知人から連絡をもらった。
彼はこれまで、皇室典範改正問題に特に深い関心を持っていたわけではない。
私が従前、どんな議論をしてきたかも、殆ど知らないはずだ。『新天皇論』を既に読了しているかどうかも、知らない。
でも興味深いのは、今回『別冊正論』を読んで、つくづく「女系容認」しかないことが分かったと言うのだ。
誤解のないように言っておくが、同書は小林さんへの批判を主な目的にしたような内容で、いわゆる「男系派」の代表的な論客の力の入った論文がズラッと並んでいる。
私の何年も前の旧稿が再録されているのが唯一、例外的に女系容認の立場を示しているくらいだ。
なのに何故、彼は女系容認論の妥当性に目覚めたのか?
『別冊正論』掲載の男系派の力作、労作をいくら読んでも、男系限定で将来にわたる安定した皇位継承を確保する為の具体的、現実的な打開策が一切、示されておらず、殆ど「神風」頼みのような姿勢に終始していたからだそうだ。
これなら女系容認しかないと納得したらしい。
どうやら今回の特集は、標準的な読解力を持つ冷静な読者には、編集者の意図とは裏腹な読後感を与えているようだ。