破竹の勢いで連勝を続けていた横綱の白鵬が負けた。
63連勝でストップ。
史上2位だった江戸時代の谷風に並んだものの、双葉山の69連勝には及ばなかった。
その報に接した時、即座に「勝ちに行ったな」と思った。
それが敗因だろう、と。
と言うのも、白鵬自身が勝利の秘訣を問われて「勝つ相撲をとらないこと」と答えていたからだ。
「決して無理をしない。結果を求めないということなんです。…そういう風に自分に言い聞かせないと、やってやれないんだよね。固くなっちゃうから」と。
案の定、後のインタビューで「勝ちに行ってしまった」と答えていた。
でも、すぐそのように反省できるところが、やっぱり凄い。
例の天皇賜杯なき優勝で涙を流した件について、白鵬はこう語っていた。
「天皇賜杯をなくすとかさ、相撲が国技でなくなっちゃいますよね。
…天皇陛下はこの国のシンボルであり、一番のトップ。
なくてはならないお方だと思います。
国技というのは、文化と伝統そのものでしょう。
…天皇賜杯を抱いて終わる。
それが相撲ってことじゃないですか。
相撲がなくなれば、この国は終わると思ってるから」
これだけの覚悟を持った力士が現在、他にどれくらいいるか。
白鵬には今回の負けをバネに更に成長し、今度こそ双葉山の記録を塗り替えて欲しい。
なお白鵬が敗れた15日は、ちょうどモンゴルのエルベグドルジ大統領が来日していた。
大統領は、自分の来日で白鵬が勝利に拘ってしまったのではないか、と気遣ったようだ。
これもいい話ではないか。