ゴー宣DOJO

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切通理作
2010.9.7 16:58

あなたは誰? 「地方」と「東京」

       ゴー宣ネット道場ではいつも『せつないかもしれない』という番組をやらせていただいてます。
   そこから最近二つの番組に出張出演してきました。

  まずは宮城能彦先生の『みやぎ屋動画』(「第2回 切通理作さんと沖縄ノープラントーク」)。
  http://www.nicovideo.jp/watch/1283138039

  そして間を置かずして、今度は小林よしのりさんの『よしりんにしやがれ』でアイヌ系の血を引く砂澤陣さんを交えた『日本全国 入りまじり雑談』に参加しました。
  http://www.nicovideo.jp/watch/1283240018 

  「地方」と「東京」、それぞれのアイデンティティとは!? ――併せてご覧になると自分の「立ち位置」がわかるかも!?

  今日はこの二つの「出張」について私なりに紹介させていただきます。

  まずは『みやぎ屋動画』。
  こちらは基本的に、私から宮城能彦先生に質問するという形です。
 
  宮城先生がかつて口にされた「沖縄では保守も革新もナショナリズムなんだ」という事の真意が最初の話題。

 2番目の話題は「復帰は沖縄県民が望んだものではない、というのは本当か?」 
 宮城先生は子どもの頃、復帰運動の熱い盛り上がりを直に体験しています。

 3番目の話題は「沖縄にただ<癒し>を求める観光客のあり方はそれでいいのか?」
 宮城先生はここで自覚せずに優等生的意見を持ってしまっている私に柔軟な思考を促します。

 4番目の話題は「沖縄への所謂<同情>は全否定するべきなのか?」 
 宮城先生が感じる、運動家と「普通のおばちゃん」の感性の違い。

 5番目の話題は「沖縄の人にとって、先の地上戦を戦ったことへ<泣かずにほめてください>という気持ちは存在するか?」
 これは、非常に微妙なところに踏み込んだ話題となりました。

 宮城先生の「すぐ謝るのは差別心があるから」という発言は印象的でした。僕も沖縄ソバ屋で出会った頑固親父からの「洗脳」を解かれました。

 この話題は『日本全国 入りまじり雑談』へと続きます。
 ニコ動で突っ込まれてましたが、「みやぎ屋動画」と同じ日に続けて撮っていることもあり内容的に連続性があります。

  『日本全国 入りまじり雑談』は福岡から小林よしのり、北海道から砂澤陣、沖縄から宮城能彦の各氏に東京から私という陣容。
  島根からということでしじみさんに出て貰ったら良かったかも。なにしろ島根の名物を芸名にしている人ですからね。
  しかし私のような人間が「東京代表」でいいのでしょうか!?

   四人の中でもメインゲストは「アイヌ系の血を引くが、そこにとどまらない活動をされている」砂澤陣さん。彫刻家「砂澤ビッキ」の二世であり芸術活動を継承されています。

   砂澤さんのお父上が「こんなのアイヌじゃない」と言われながら作り上げた紋様が世に定着するや、今度はアイヌ文化全体に解消されようとする向きに、砂澤さんは抵抗しています。

  「砂澤ビッキ」はアイヌ文化のものではなく一人の作家の才能と努力の産物である、と砂澤さんは言います。「オリジナルとは個が自立しているものである」と。

  「個人の作家名が残らず文化という曖昧な言葉に解消していると、そんな文化はあとで小バカにされる」という発言は傾聴に値すると思いました。
  文化という虚構の共同性に偏る危険性について考えました。

  そして一同交えて、同じ地方出身というと似た者同士のように思うけど、それは東京に出てきてから作られた人格ではないかという話題になります。地元ではお互いの違いを意識してた筈ではないか、と。

  でも僕には「作られた地方性」すらも羨ましいのです。

 僕にとって、
 「上京経験」
 「受験浪人経験」
 は<二大羨ましい>経験。
 
 人生が2コマ多い感じします。  

 そんなことを、僕は東京育ちの東京在住者として話しました。
 沖縄ソバ屋の頑固親父の話題も続きますよ。
 え? なんのことですって?
 それはぜひ動画を見て下さい!

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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