平成18年の「あさなぎ」設立の際、私がお願いして、小林さんと私がそれぞれ講演をし、その後、2人で討議するという企画が実現した。
小林さんは若者たちの新しい動きを応援しようと、この企画に乗って下さったのだ。
「あさなぎ」のメンバーは大喜びだった。
振り返って感心するのは、小林さんはこの時、すでに若者たちに媚びたり、おだてようなどと、微塵もしておられないことだ。
普通、気の弱い者なら(私のように!)多少なりともリップサービスでヨイショしてしまうところを(まぁ、笹さんは絶対しないだろうが)、小林さんは冒頭、こんなことを仰った。「保守系のメディアに書いてあるお約束的なことを単にそうだそうだと、頷きたいような人はここには来ていないと思う」これって殆ど、そんな奴はここには要らない、立ち去れ!と言っているに等しい。
いきなりガツンとパンチをかまして、強烈に釘を刺しておられる。
いかにも「運動」とか「ボランティア」などが陥り易い落とし穴を熟知し、その危険性に敏感な小林さんらしい、講演の「ツカミ」だった。
それなのに高森、その後、大丈夫なのか?
というのが、小林さんのご心配だと思う。
これは、「運動」などの自己目的化に常に繰り返し警鐘を鳴らす小林さんのお立場として、極めて当然の懸念だ。
一方、私は、小林さんとそうした問題意識をしっかり共有しつつ、彼らが挫けそうになったり、方向を見失いそうになったような時に身近にいて、元気づけたり、一緒に考えるのが役割。
だからこそ、高森が足元をきちんとさせなくては、と小林さんに気を揉んで頂いているんだと受けとめている。有り難い友情として、肝に銘じたい。
ちなみに、先の小林さんの講演での一番のポイントは「靖国神社を守るという場合、ただ神社そのものを守るということより、靖国神社に祀られている英霊たちが体を張って守ろうとしたものを守ることが何より大切だ」ということ。
言われてみると当り前のようで、靖国神社を語る人の口からまず、それまで出たことのない発言だった。
設立したての「あさなぎ」の若者たちにも、強いインパクトを与えたはずだ(小林さんのこの時の講演内容は『日本人なら知っておきたい靖国問題』青林堂、参照)。
これからも非力ながら、至難な「自己の客観化」を自戒しつつ、「あさなぎ」に関わっていくつもりだ。
小林さんはじめ、多くの方々には、引き続き若者たちへのご支援をお願いしたい(いずれ折を見て「あさなぎ」に集う若者たち、といっても40歳手前のオッサンもいるが、の素顔の一端も報告しよう)。