ゴー宣DOJO

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みなぼん
2010.8.19 04:07ゴー宣道場

「運動」、そして『ゴー宣道場』のその “ 向こう ”

絵文字:お知らせ 再度、
    よしりん先生の登場です絵文字:重要絵文字:笑顔



切通理作氏が素晴らしい文章を
道場ブログに書いてくれました。

8月8日の靖国会館で、
笹さんの「評論家になるな」という発言を聞いて、
切通氏は「ショックを受けた」と
笑いながら言ってましたが、
今回のブログは
まさにその評論家の意地を賭けた
勝負に出たなという感じですね(笑)

切通氏は
作家であり、評論家でもあります。
文章のプロです。

プロの文章家が
これだけ気合いの入った文章を、
わが『ゴー宣道場』のブログに
書いてくれたのだから、
実にありがたいことです。

本物の評論家とは、このように
「自分の言葉で語る」ことができる者のことです。

さらに言うなら、
「自分を客観化できる」者のことなのです。

わが国の戦争を全否定したり、
全肯定したりする自己愛に陥らず、
これを客観化するためには、
「べき論」を超えて、
「自分の言葉で語らなければならない」のです。

さて、今回またわしが
みなぼんのブログにしゃしゃり出てきたのは、
「運動」に関するわしの考えを
述べておくためです。

しかしわしもプロなのに、
よくこんな余分な時間を使ってしまうなあ(笑) 

わしは高森氏が関わる
「あさなぎ」や「つくる会」、
笹さんが関わる「遺骨収集」には
一定の理解と好感を持っています。

他人に参加を呼び掛けて、
何らかの目的達成のために動かそうとすると、
これは「運動」になります。

そういう意味では『ゴー宣道場』も、
運動の要素が微妙にあるのかもしれません。

ただし、
応募者のうちの当選した人しか参加できず、
議論しかしないのだから、
ボランティア的性格が一切ありません。

人々を動員してデモをかけ、
シュプレヒコールを上げて、
圧力団体化することなどは、
もちろん絶対にありません。

参加者は来るも来ないも自由。

「 “ 現場 ” を第一に考えよ」
というモットーがあるのですから、
「正しいことをしている」とか、
「立派なことをしている」とか、
そういう自己愛に浸る余地は
『ゴー宣道場』にはないのです。

「正義」が掲げられないわけです。

わしが
高森氏や笹さんの運動を支持するのは、
その運動が間違ってはいないし、
主観的にはほぼ「正しい」と思うからです。

ただ、
「遺骨収集」に関しては
途方もなく困難なボランティアだなと思いますね。

わしも
薬害エイズの子供たちに会ってしまったら、
やむにやまれず情で動いてしまいましたから、
笹さんも南方の島の遺骨を見てしまって、
そういう感情に突き動かされているのでしょう。
十数年前のわしに似ているかもしれません。

だが遺骨は南太平洋の島々だけでなく、
シベリアにも、北朝鮮にも、
海底にもあるはずですし、
終着点が見えないのです。

どこで「日常に帰る」のだろうか?

わしは
「遺骨収集」や「慰霊碑の保存」は本来、
国家がやる「べき」ことであり、
国家の国防への構えを変えなければ
どうにもならないと思いますが、
笹さんには「べき論」に聞こえてしまうでしょう。

しかし途方もないことをしているなと思います。

だからと言って、
遺骨収集に関心を持たなくていい
という話ではない。
拉致被害者にだって
関心を持ち続けた人がいたから、
やっと国家の仕事に
結びつけることができたわけです。

もしかして途方もない年月が
かかるかもしれないが、
人々の関心が薄れないように、
笹さんを応援し続けなければならないのでしょう。

だから、ほとんど
「仲間意識から一定の理解をし、好感を持っている」
という方が妥当かもしれない。

そういうわけで、
笹さんの「戦史検定」という
資金集めのための企画に、
監修として協力することにしました。

まあ、
笹さんはわしの作品の中で、
『脱正義論』が一番好きだそうです。
それならば、わしが心配することもないでしょう。

しかし、
今の「行動する保守」の連中というのは、
『脱正義論』なんか
全然理解できないんでしょうね。

強烈な自己愛集団ですね。

運動を維持するためには
どうしても「正義」を掲げがちです。

単なる言葉の問題ではなく、
態度としてですよ。

「愛国心」も正義の一つで、
関心を持たない者、無知な者に対して
居丈高になりがちです。

このような傾向は
右翼・保守方面も、左翼・リベラル方面も
まったく変わりありません。

右も左も同じように
「我こそは正義をなす者なり絵文字:重要
という確信を持ち、
ゆえに正義の少ない者、
愛国心の少ない者(or 社会的弱者に関心の薄い者)を
啓蒙してやるという態度をとるものです。

8月15日の靖国神社の周辺で
署名活動していた愛国者は、
署名をせずに目の前を通り過ぎる参拝客に向かって、
「おまえらは日本人の誇りを忘れたか―絵文字:重要
と怒鳴っていたそうです。
会員のメーリングリストにありました。

うちのスタッフも、当日の
九段下から靖国神社までの動画を撮ってきたけど、
あんなもの流したくないと言ってます。

「行動する保守」と「行動する左翼」が
自己愛合戦に励んでいて、
警察・機動隊がその衝突を防ぐために
大量に動員されていたらしい。

くだらんことに税金を使われたものです。

境内で
「あさなぎ」の人が配る麦茶には
助かったそうです。感謝していました。

神社周辺で「正義」を掲げて、
参拝客にまで居丈高に怒鳴ってるヒマがあるのなら、
「あさなぎ」に入ってボランティアした方が、
どれだけ英霊が喜ぶかと思います。

しかし、たとえ国のため、
英霊のためという「正義」を掲げても、
「運動」をすることが、
「べき論」を超えることではないし、
尊いことでもない
と、わしは釘を刺しておきます。

それは穏やかな運動であろうが、
ラジカルな運動であろうが、
「好きでやってる」はずなんです。
「やりがい」を感じるからやるのです。

「好きでやってるんじゃない」と反発した人は、
ちょっと考えてみてください。

自己を客観化してみてください。

ボランティアや、愛国的な行動や、
運動に関わるヒマも余裕も全然ないほど、
日常を送るのに精一杯という人の数は
圧倒的なんですよ。

わしには『ゴー宣』の読者のおかげで
そういう人たちの声が届くんです。

例えば『ゴー宣』の読者には、
毎月・第2日曜の『ゴー宣道場』にすら、
参加したくても参加できない人たちが膨大にいます。
その人たちの数の方がはるかに多いのですよ。

わしが『ゴー宣道場』なんて実験を始めたら、
興味津々だけれど、参加もできないし、
ネットの動画を見る余裕もない
という人の方が確実に多いのです。

このホームページは
一日1000人以上が訪れているらしいですが、
『ゴー宣』の読者は
「SAPIO」や「WiLL」で10万、
『ゴー宣スペシャル』で20万ですからね。

家族や知人で回し読みしていたら、
もっと多くの人数かもしれません。
そのうち『国民の遺書』を買った人は
5万人を超えたようですが。

『ゴー宣』は読んでも、
ネットを見るヒマまでないという人の方が
圧倒的に多いわけです。


けれども、
間違いなくそういう人たちも思想したいのです。

国の行方を考えたいのです。

日常に埋没してしまう淵のところで、
『ゴー宣』を読んで
懸命に踏みとどまろうと努力しています。


わしが
一番気にしていなければならない人は、
そういう普通の人たちです。

偉大な平凡人です。

日常との格闘者です。

8月8日の靖国会館での『ゴー宣道場』には、
夏休みが取れたから
やっと来れたという人たちがたくさんいました。

そのような人たちの中には、
「べき論」を超えて行動しろと言うと、
反発を感じて
「何言ってんだ、ヒマ人が絵文字:重要
と言う人もいます。

それはむしろ健全な人たちなのですが、
中には純粋すぎて
後ろめたさを感じ始める人もいます。

そういう人たちに向けて、
宮城さんは
「純粋まっすぐ君たちへ」
というブログを書いたのでしょう。

日常を生きる人たちが、
運動や、ボランティアに参加する人たちに対して、
後ろめたい気持ちになる必要など断じてない絵文字:重要

運動する人たちが、
「正義」を背負って、
日常を生きる人たちを見下すことほど
無礼なことはない。

わしは
「正義」と「優越感」と「自己愛」に
嵌りがちな「運動」というものに、
強い警戒心を持っています。


「普段、日常を懸命に生きているのだけれど、
  月一回、日曜だけは余裕ができるから、
  『ゴー宣道場』で楽しみながら思想しよう。」

『ゴー宣道場』を
そういう人たちの聖域にしたいと思います。

現場を持つ人たちの言葉を、
わしは聞きたいし、
そういう人たちと
議論を積み重ねたいと思います。

彼らと話し合う場を持つことだけで、
それが社会に影響を与える回路を、
わしは作ろうとしています。

しかし、少なくともわしは、
『ゴー宣道場』に参加してくれた人たちだけを
見ているわけにはいかないのです。

その向こうに、
運動とは全く無縁な、
懸命に日常を生きる人たちがいることを
忘れてはならない。

そして、
それらの日常との格闘者が
『ゴー宣』を読んで考えたことを、
自分の現場で活かしている事実も
わしは報告を受けています。


彼ら、彼女らが、
すでに「自分の言葉で話す」という行動を
たった一人で実践していることも、
わしは肝に銘じておかねばならないのです。

そうでなければ、プロとして成立しませんから。

みなぼん

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