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高森明勅
2010.6.1 15:25

旧宮家系国民男子の皇籍取得(5)

引き続き関連の見解を紹介する。

「(典範)増補第6条に『皇族ノ臣籍ニ入リタル者ハ皇族ニ復スルヲ得ス』と言えるをもって明白なるがごとく『祖宗ノ皇統』とは、単に家系的血統を意味するだけではなく、『皇族範囲内にある』という名分上の意味を包含しているのである。

しからざれば、わが国のごとき(源氏や平氏の子孫をはじめ皇室の血筋を引く国民が多くいる)皇胤国家においては、君臣の分を定めることが不可能に陥るであろう」(里見岸雄氏『天皇法の研究』昭和47年、原文は歴史的かな遣い、漢字を一部かなに改めた)

ネット上で一時、「神武天皇のY染色体」なるものが、さかんに持てはやされたことがある。

だが、わが国のように長い歴史の中で、皇室の血筋が広く国民の間に拡散している「皇胤国家」で、現に皇族でいらっしゃるのか否かという「名分」も抜きにそんな議論を振り回すと、「君臣の分を定めることが不可能」になってしまう。

(つづく)

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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