ライジングで『持統天皇烈伝』を書き始めたら、その前段階の天智天皇&大海人皇子の沼にはまってしまい、ほとんど持統天皇本人を描いていないというまさかの展開に……。
それなのに、毎回、感想を書いてくれる人がいて、おおむね楽しんでもらえているのかな? と思えるからありがたいです。
なんとか勢いで話をすっ飛ばして、壬申の乱までたどりついたけど、これがまた底なし沼。
図書館で、壬申の乱の関連本を借り倒して、読み比べるのだけど、著者によって
「~だと私は考える」
「きっと~ではないだろうか」
という『説』がいろいろありすぎ!
さすがにこれは陰謀論がすぎるのでは? というオモロいものもあったりして、どんどん返却し、どんどん借りて、参考のために手元に置いておきたいものは、電子書籍と中古で買っている。
最近は、同じ本でも、紙の本と電子版の両方を買うことがある。
電子版は、単語検索ができるので、日々の原稿仕事ではめちゃくちゃ便利。
飛行機や新幹線でも荷物にならずに読めるから、必需品になった。
でも、自分の連載のためとか、勉強したくて買った本なんかは、重要な部分に線を引いて、付箋を貼り、前後をめくって読み返したり、全体をぱらぱらとめくって、気になっていた部分を再読したくなることが何度も起きるので、紙の本も必要だ。
今週は、図書館にも電子版にもない田中卓氏の本が届いたのだけど、ちょっとした単行本かと思っていたら、壬申の乱に関する論文が30篇以上収録された著作集の一巻だったので、くらくらしてしまった。
足の上に落としたら、しばらく立ち直れない重さのやつだ。
奥付によれば、昭和60年、私が8歳の時に刊行されたものだけど、紙の角がピンと尖っていて、一切日焼けがなく、中のページには空気の入った形跡もなかった。
どこかの教授先生の書斎の書棚におさまって、読まれないまま時を過ごし、その持ち主が他界して古書店に流れた、という感じかな?
40年かけて、福岡にいる私の手元にやってきて、はじめて開き癖がつくまでバキバキ音をたてて押し開かれ、あちこち無遠慮に線を引かれながら読まれているのだから、本って不思議なものだ。
難しくて眠りの世界に誘われる本かなと思ったけど、ざざっと読んだだけでも(深入りしたくない部分を避けて)、これまで読んだものとは、またまた違う視点から論じられていて面白かった。
想像の幅を広げてくれるヒントもたくさんあったので、買ってみてよかった。
あとで書き直すときに、もっとしっかり読むと思う。
今は、あんまり一生懸命読み込みすぎると、話がちっとも先に進まなくなるから。
でも次から次に気になることが出てくるから、困るわけです。