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『夫婦の絆』
感想のご紹介です!
【まいこさん】
「夫婦の絆」の単行本を拝読させていただいた感想です。
ガンジガラメでデタラメな正義が振りかざされる昨今、優れた物語に仮託してならば、何処までも悪辣にも卑怯にもなれる故に、何とか正気を保つことができる。「夫婦の絆」は、蜜子と沙耶の愛への渇望から発した途方もないエネルギーと、一郎の突き抜けた大らかさによる永遠の三人同棲への帰結に至るために、数多の悪が痛快なまでに重ねられてきました。
特に落雷を受けて以降、心身を制御していたリミッターを外して闘う場面は、血沸き肉躍る激甚さと壮麗さが相和して、まるで翼を授けられたかのごとく、蜜子と共に脳内で数多の敵を粉砕した読者も多いことでしょう。「夫婦の絆」には、人が内包する悪が昇華するダークな解放区も広がっています。
親殺しという究極の罪を塗り込め、さらに悪を積み重ねてはいても、蜜子が闘うのは、常に沙耶のため、一郎のため、そして幼き者たちのため。自分を求めてくれる者に応えるために己の力を限界まで使う蜜子の健気さは、尽きせぬ才能を汲みだし続ける秘訣を垣間見させてくれてもいるのでしょう。
ラストシーンの後の世界も、想像を膨らませて楽しめるのが豊かな物語。三人同棲が10年後、20年後にどうなっているのか、それぞれの親と同じ道を辿るのか、乗り越えられるのかも気になるところ。刑事と作家たちが悪のタッグを組むことも、まだまだ起こり得るかもしれません。
愛とは何か、悪とは何か。相反するもののように見える概念が止揚される類まれなる物語。デタラメな正義が跋扈し、心枯れさせる今こそ、芳醇な世界に没入できる幸せに酔い続けたいと思います。
「ガンジガラメでデタラメな正義」がはびこればはびこるほど、人間の中にどうしようもなく存在する「正義」じゃないところが抑圧されて、かえってとんでもないことを起こしそうな気がしてなりません。
そんな中で、どこまでも人間の本性に迫ろうとする優れたフィクションは本当に貴重!
『夫婦の絆』がその一本であることは、疑う余地もありません!!
明日の横浜LIVEではサイン本限定15冊販売!
人間の存在の根源まで考え直させられる、とてつもなく奥深い作品をぜひお読みください!!