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高森明勅
2025.1.31 06:48皇統問題

野田佳彦内閣おける「女性宮家」創設を目指す動きの内幕

野田佳彦内閣の当時、「女性宮家」の創設を
目指す動きがあった。

その内幕の一端について、近刊の笠原英彦氏
『皇室典範ー明治の起草から現代の皇位継承問題まで』
(中公新書)から紹介する。

「野田首相によれば、『当時の羽毛田信吾·宮内庁長官から、
皇族数の減少に対する危機感が伝えられたのがきっかけだ。
宮内庁サイドには女性宮家創設に期待する向きがあった』という」

「そもそも皇室制度の改革に必要な皇室典範の改正をめぐっては、
『リスクが大きい割に、票にならない』というのが
政界の一般的な受け止めであった。
しかし、宮内庁からの要請をうけた野田首相は
皇室制度の検討を決断し、直ちに着手した。
藤村(修)官房長官や斎藤(勁)·長浜(博行)両副長官らが
その後明らかにしたように、ひとえに当時の野田首相の
政治決断と指導力が大きな影響力を及ぼしたことは間違いない。
…風貌に似合わず、野田佳彦は情熱の政治家である。」
❲※「風貌に似合わず」は余分か?❳

「藤村長官へのインタビューでも、
同氏は『(野田首相はー引用者)私には
《女性宮家のことは何とかしないといけないね》
とおっしゃっていたとし、
『野田総理が、割に個人的にもそのことは非常に敏感に、
急ぐ話だというふうに据えたからだと思います』と
回顧する(慶應義塾大学皇室制度研究会インタビュー)」

「(平成23年)10月5日に首相官邸では
どのような内容の話がなされたのであろうか。
野田首相の心を大きく揺さぶったのは、
羽毛田長官の皇統の存続をめぐる危機感であったにちがいない。
おそらく話の中心は皇室の活動の維持ではなく、
皇位継承問題であったはずである」

「毎日新聞のベテラン皇室記者、大久保和夫氏は…
皇室においては天皇が最高位にあり、天皇の意思で
すべて動くとしたうえで、『陛下が、やはり、
何とかできないだろうかという思いがあったからこそ、
羽毛田さんが一生懸命、野田内閣に働きかけて。
女性、女系天皇というと、❲当時の情勢では❳
いろいろ賛否両論、国論が二つに割れかねないから、
皇族の減少を防止する、それを少なくとも、
これ以上、減らさないようにするために
女性宮家の創設ということで、やったらどうか
ということを野田内閣のほうに言って』
と経緯を説明する。大久保氏によれば、
長官退任後の取材に、羽毛田氏は暗に真意が
皇位継承問題であったことを認める含みのある
表現を使ったという」

当時の羽毛田宮内庁長官が、上皇上皇后両陛下や
天皇皇后両陛下のご意思を確かめないで、
独断で野田首相に働きかけることなど全くあり得ない。
そうであれば、女性宮家の創設は皇室ご自身の望みであり、
その先には「皇統の存続」「皇位継承問題」が見据えられている。

従って敬宮殿下は当然、ご結婚後も皇籍を保持される場合も
あり得る、という両陛下のお考えのもとでこれまで
育って来られたと拝察するのが、最も自然だ。

▼追記

ミス日本グランプリに石川満里奈さんが選ばれた。
しかもミス着物との2冠! おめでとう。
特技が弓道、バドミントンの他にケン玉というのが面白い。
彼女が演歌歌手の石川さゆりさんの姪だったとは知らなかった。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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