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笹幸恵
2025.1.9 18:38日々の出来事

『SPA!』倉山記事〜観念論は何の役にも立たない。

新年一発目となる『SPA!』1/14・27号の倉山記事。
支離滅裂で何が言いたいのかわからず、
感想の持ちようがない(いつもだが)。

今回は冒頭から二度もずっこけた。

【その1】
いきなりこう書いている。

 「自分の運命を自分で決められる年が到来した。
 こんなチャンス、滅多にない」 

そう書いた上で、「まずは国際情勢」と話が始まる。 
うん???
自分の運命(個人)の話なのに、まず国際情勢???
しばらく読み進めて、ようやくわかる。
これ、「自分」じゃなくて「自国」の運命の話。
自分たちの国の運命を自分たちで決められる年なのだ、と
言いたかったらしい。じゃあそう書け。まぎらわしい。
(それとて意味不明だが)

【その2】
アメリカがトランプの返り咲きでハチャメチャな人事になっていることに触れ、
「〜などと聞けば、知らないと驚くだろう」
と記している。
うん??? 日本語オカシクナイ?
知らないと驚きようがないけどね?
「知らない人にとっては驚く話だろう」と書きたかったのか。
いずれにしろ「知らないだろうからオレ様が教えてやるぜ、
どうだ、驚いただろう」と言いたいのが透けて見える。
こんな無駄な一文、私が編集者なら一瞬で「トルツメ」する。
まったくもって無駄である。


そして記事では、一時期、本人の中でブームだった
「大国に戻れ」が再燃している。

記事を要約すると、こんな具合か。
=============
国際情勢は、米国でトランプが返り咲いたが心配無用。
ロシア、中東、中国、韓国のドタバタも日本にとって不利ではない。
今こそ大国に戻れ。そのためには内政の膿を出し切るしかない。
減税を求める世論が国民民主党を支持、わかってないのが自民党。
いっそ政界再編しろ。
=============

????

以前のブログで「大国」が何を指すのかはっきりしないと
指摘したが、今回も戻るべき大国の姿が全く明確ではない。
文脈から忖度するに、日本はアメリカに代わって
インド太平洋で覇権を握れ、ということか?(判然としない)

何より驚きなのは、「日本にとって有利な国際情勢をどう生かすか」
という自らの問いに対し、「内政の膿を出し切るしかない」と
答えているところ。
外政の話をしているのに、なぜ内政???
内政を盤石にしてから外政でこう立ち回れ、
と言うなら、問いに対する答えになっているが、
話は内政(しかも減税の話のみ)で終わっている。
で、結論は「いっそ、政界再編してしまえ」だ。
どのような再編が望ましいのかはもちろん書かれていない。
ただの破壊衝動か?
深く考察できないから投げやりになったとしか思えない。
編集者はよくこんなものを通したね?

ちなみに最後の段落はこちら↓
「国際情勢が有利な今、時間はある。
ただ、いつまでもハングパーラメントを
続けるわけにはいかない。
いっそ、政界再編してしまえ。
どんな政治をするか、決めるのは我々だ」

投げやりなくせに、「決めるのは我々」などと
鼻息荒く書き立てている。
だいたい政界再編しろって、誰に言ってるの?
「決めるのは我々」ってどういう意味?
国民主権だって言いたいの?
自らの支離滅裂さに気づかないこういう輩が
国民主権を声高に叫ぶほど、厄介なことはない。
民主主義ってろくでもないよね、ということが、
この一文でわかりすぎるほどわかってしまう。

結局、国際情勢の現状を連ねているだけで、
日本が「大国に戻る」とはどういうことか、
それには何をすべきなのか、
どのような段取りや注意が必要なのか、
その行く先に何があるのか、一切書かれていない。
非常に観念的なのだ。
観念だけで吠えていたって、何の意味もない。

文は人なり。
「知性」などと標榜したところで、脳みそがすっからかんだということは
文章を読めばすぐにわかる。
観念だけで何かを語ったつもりになるなど、思慮深い人間にはあり得ない。
こんな日本語もまともに綴れないすっからかんが皇統問題をドヤ顔で語り、
番組に呼ばれた政治家がすっかり洗脳されるのだから世も末だ。
自ら「軽薄です」「何も考えてません」と言っているに等しい。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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