今朝(11/22)の読売新聞総合欄に、国連女子差別撤廃委員会による 皇室典範改正勧告がけしからん、という記事が載った。 その書きぶり、記事の構成ともに、あまりに稚拙。 言い分が幼児が駄々こねているのと何ら変わらない。 5日付社説への投稿と同様、本記事についても あまりに情けないので問い合わせ欄に投稿。 以下、その内容です。 ========================== 11月22日付の総合欄「スキャナー」に、 皇室典範改正勧告についての記事が掲載されました。 私は、貴紙11月5日付の社説 「皇室典範に勧告 歴史や伝統を無視した発言だ」に対して、 反論を投稿した者です。 今回の記事は、この読者の意見を真正面から受け止め、 再度検証を試みたものかと思いましたが、さにあらず。 日本の伝統とは何か、「国民の総意」をどのように制度に反映させていくか、 こうした本質的な議論は避け、 国連女子差別撤廃委員会の手続きやあり方に批判の刃を向けています。 これが大新聞のやることですか? 開いた口が塞がらないとはこのことです。 以下、再び反論します。 1)皇室典範に女性差別はないとする貴紙主張について
記事のリードには「皇室典範に女性差別があるかのような 誤解が広がる恐れがある」と記されていますが、誤解ではありません。 前回投稿したように、男系男子による皇位継承は、 「男尊女卑の慣習があるから女帝は不可」と言った 井上毅の発言が引き継がれ、今に至っています。 明確に女性差別があるのです。 また、「皇位につく資格は基本的人権に含まれない」ことをもって 「女性差別に当たらない」とする政府見解を紹介していますが、 詭弁もいいところです。 基本的人権に含まれないからといって、 差別をなくさなくていいことにはなりません。 言わずもがな、皇位継承者とて人間だからです。 できる限りの配慮をしていくことが、 天皇を戴く国家の一員として、最低限持つべき良心でしょう。 またそうすることによって立憲君主制が続いていくことは、 国家の安寧にもつながります。 「男系男子が伝統だ」などと、ありもしないことを強弁することが 国のかたちを不安定にしていくことがわかりませんか。 さらに、「男系男子が伝統」論を補強するために百地章氏の発言を 紹介していますが、彼は憲法の成立過程における文献を ご都合主義的に切り取るような、 憲法学者とは到底思えない曲学阿世の徒です。 とても信用に値しません。 産経新聞の二番煎じに堕すなら、貴紙の存在意義は皆無です。 2)国連女子差別撤廃委員会の手続きの不明瞭さについて
貴紙は、委員会による皇室典範改正勧告が出されるまでの 議論が公表されていない、日本の伝統を踏まえていない、と 疑義を呈しています。 これについては「甘ったれるな」のひと言につきます。 委員会に対して駄々をこねているだけだからです。 また、それをもって見出しに「透明性欠く」などと記すのは、 いちゃもん以外の何ものでもない。 そればかりか、話を国連全体に広げ、国連人権理事会が かつてクマラスワミ報告を採択したこと、 国連のさまざまな組織が拠出金によって中立性や公平性が 損なわれていることなどをあげつらい、国連機関全体が、 さも信用ならない組織であるかのような印象操作を行っています。 改正勧告を受けて本質を見据えるどころか、 自らの主張に正当性を持たせるために 話を広げて(論点をぼかして)国連の悪口に終始。 情けない。記者は恥を知りなさい。 私は何も国連のいうことを何でも鵜呑みにして 言うことを聞けと言っているのではありません。 クマラスワミ報告の採択など、今でも腹に据えかねます。 だからと言って、国連機関による勧告がすべて 取るに足らないものとする態度は あまりに安易かつ短絡的でしょう。 是々非々で、その都度、国のありようを 「主体的に」見つめ直していけばいいだけの話です。 それが、国際社会の一員として、自立した国家として、 あるべき姿なのではないですか。 また、ここまで国連の悪口を書くのなら、 読売新聞は「日本は国連を脱退すべき」との主張を 掲げなければ筋が通りません。 第二の松岡洋右を誕生させなければなりません。 それが貴紙の本意でなければなりません。 それで、間違いがないですね? そもそも貴紙は、男系男子による皇位継承が伝統だと主張しています。 少し歴史をひもとけば、皇位が男系男子による継承で 続いてきたのではないことがわかります。 それを伝統と言い張る根拠を示しなさい。 伝統とは何かを明確に示しなさい。 それすらできずに国連の悪口を言い募るだけでお茶を濁すなど、 許されることではありません。 今回の記事は、幼児がママに甘えて 筋違いのわがまま言っているだけとしか映りません。 大新聞としての矜持を持ちなさい。 その矜持とは、勇気を持って自らに刃を向けることです。 この反論を、ゆめゆめ握りつぶすことがないように。 これは一読者による、最大限のエールです。 ==========================