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トッキー
2024.10.31 12:00政治

国連女性差別撤廃委員会の皇位継承への勧告は「主権侵害」ではない。

国連女性差別撤廃委員会が、日本の皇室典範が皇位継承を男系男子に限定しているのは「女性差別」だと勧告した件について、どういうわけだか、「女性・女系天皇賛成」の論者の中にも

「皇位継承は天皇の地位、つまり日本国憲法第一条に関わる問題であり、『主権の存する日本国民の総意に基づく』ものです。そのため、今回のように国際機関が立ち入ってくることは主権侵害にあたります。」

と、間違ったことを言ってる人がいるので、これについても説明しておきます。

先ほどのブログで書いたとおり、国連女性差別撤廃委員会の勧告は女性差別撤廃条約に基づくもので、日本が条約締約国である以上、皇位継承問題であろうと「国際機関が立ち入るな」というのは筋違いです。
不服ならば、条約を離脱すれば済むことです。

しかも憲法を持ち出すのならば、日本国憲法第98条2項には「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」とあります。

条約に基づいて「皇室典範は女性差別」として改善を勧告された以上は、この勧告に誠実に従わなければ「憲法違反」になるのです。

そのため、条約は国内法よりも上位に位置づけられ、条約違反となる国内法は改正されなければならないことになっています。
女性差別撤廃条約に関して言えば、8年前の勧告に基づいて、女性にのみ課されていた100日の再婚禁止期間の撤廃や、男性18歳、女性16歳だった結婚最低年齢の格差是正といった法改正が行われています。

では、憲法と条約の関係はどうかというと、一時は条約の方が上という説が力を持ったこともあるようですが、今では「憲法の方が上」というのが通説だそうです。

よって、条約と憲法・国内法の関係は

憲法>条約>国内法

ということになります。

憲法で皇位継承について定めているのは「世襲」だけです。
ここでもし女性差別撤廃委員会が「世襲は差別であり、選挙制にせよ」と勧告したら(条約の性質上、ありえないことだけれど)、それは憲法2条に反するものであり、主権侵害という主張も成り立つでしょう。
しかし「男系男子」を定めている皇室典範は一国内法であり、条約の下位に位置づけられています。

よって、条約に基づく勧告に従って皇室典範を改正することは(「外圧」で皇位継承問題が動くのは恥ずかしいという感情論は別として)、法制度上は何ら主権侵害にはならないし、むしろやらなかったら憲法違反ということになるのです。

(…という説明で間違ってないですよね、弁護士の先生?)

トッキー

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