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大須賀淳
2024.10.25 11:02その他ニュース

逢坂誠二候補のコメントへ回答

昨日の記事で紹介した、アンケートでは「女性・女系天皇賛成」としていた立憲民主党の北海道8区・逢坂誠二候補が、X上で真逆の男系男子固執を示した事に寄せられた大量の批判について釈明のポストを発表しました。

 

まず、問題になったアンケートとポストの違いがこちら。

 

そして下記が、逢坂候補の釈明ポストです。

 

まず根本的な違和感を挙げます。逢坂候補は


私は天皇制は極めて大切なものだと考えております。


と書きますが、この文章の中には、現制度のままでは将来的に皇族は悠仁さまお一人になってしまう可能性が高いという、皇統の危機についての観点が一切盛り込まれていません。厳しい言い方をすれば「呑気に自説を披露している」だけのように感じられてしまいます。

 

「女性・女系天皇の賛否」が問われているのは、皇室が滅んでしまうか否かの瀬戸際における、極めて緊急性を要するテーマです。

 

そして議論の停滞・先延ばしは、愛子さま、佳子さま、悠仁さまといった青年皇族の皆様の人生設計を阻害する、大変に残酷な所業です。

 

邪推と言われるのを覚悟で書きますが、逢坂候補はその観点を「あえて」外して書いたのではないですか?

 

男系男子を堅持するとすれば、自民などが推す「旧皇族の子孫を養子に」という問題だらけの案をセットで認める事になります。

 

逢坂候補がそれに賛成かは不明ですが、さすがにこの無理筋にまで「賛成」を示すのはイメージが悪すぎるので、そこを曖昧にしているのでは?

 

これだけで、逢坂候補は「天皇制は極めて大事なものだと考えている」と言いながら、未来にまで渡る安定継承のために力を尽くす気は持っていないのでは、と思わざるを得ません。

 


憲法第2条:皇位は世襲のものである


憲法第2条の「世襲」に男系、女系の区別は無いという学者の見解や政府の答弁は大量にありますが、ここでは男系男子の堅持に熱心だった安倍晋三氏の答弁を挙げてみましょう。

 

「憲法においては、憲法第2条に規定する世襲は、天皇の血統につながる者のみが皇位を継承するということと解され、男系、女系、両方がこの憲法においては含まれるわけであります」(平成18年1月27日、衆院予算委員会での安倍晋三内閣官房長官の答弁)

 

あの安倍晋三氏ですら「男系、女系、両方がこの憲法においては含まれる」と述べています。憲法第2条を男系男子の根拠と持ち出すと、逢坂候補は強固な女性排除論者という事になりかねません。

 


以上により現行法上は、天皇は男系男子となっています。


その現行法が現状との齟齬を起こしている状態で「現行法(皇室典範)ではこうなっている」と言うだけでは、立法府に属する国会議員という存在自体を否定しているではないですか!

 

有権者は、現状に合わなくなった法律を適切に変えてもらうために、国会議員に対し大きな権限を委託するのですから。

 


私は、古来、ずっと長く男系で続いてきたことの歴史的な重みなどをしっかりと受けとめ、皇室の長い伝統を後世に守り伝えていく責務があると考えています。女系天皇は、この皇室の伝統を途絶えさせることになりますので、私はこれには賛成しかねます。


皇位継承が「男系男子」に限定されたのは明治以降であり、歴史上は元明天皇→元正天皇、斉明天皇→天智天皇という、天皇である母から子への皇位継承も行われています。

 

さらに根本的な事を問えば「女系天皇は、この皇室の伝統を途絶えさせる」のは何故だとお考えですか?

 

伝統を重視するフリをして「女の血統は価値が低い」という差別心をカモフラージュしているだけではないでしょうか。


一方、女性天皇は、ふさわしい男子が存在しない場合に、一時的、例外的に皇位に即かれたものと理解しており、女性天皇を一概に否定するものではありません。


あまりに典型的な、女性を下に見ての「女性天皇は中継ぎ」論です。少し例を挙げても

推古天皇:遣隋使の派遣

持統天皇:律令国家の基礎を構築

元明天皇:平城京への遷都

日本史上には、女帝が行った重要な事項がいくつも存在します。

 

こうした成果を上げた人々を「例外的」と扱うのは、女性天皇(ひいては女性自体)を「男のスペア」的に卑下する差別心に他なりません。

 


なお女性天皇のことについては、男女平等や女性の社会進出とは次元が異なりまする。法の下の平等は一般国民を対象とした原則です。憲法では、法の下の平等と対極にある「世襲」の天皇制度を認め、皇室は「法の下の平等」の例外とされているのです。


例えば、皇室の事は皇族会議で決まった事を優先し、法から外れる部分も例外的に容認する、といった形であれば、一応はこの理屈も成り立ちます。

 

しかし実際は、皇族はご自身達の命運にかかわる事の決定権を(選挙の1票すら!)持っておらず、国会にて決められた事に従うほか無いのです。

立法にかかわる権限を国民から委託されようとする立場のあなたがこう発言する事は「皇室は我々の奴隷である」と言っているのにも等しい。

 


今回の選挙に当たっての各種のアンケートについて、私の思いと違う回答があり、その点はお詫びします。


有権者は、皇室の事も、それ以外の国の重大事についても、国会議員に権限を委託(手放しで譲るのではない。思いをこめて預ける)のです。

 

その大きな判断基準となるアンケートに、実際の考えと真逆の事を書いた事の弁明が、「こうした理由でこうなった」程度の記載もない、こんなに軽い言葉ですか?

 

既に期日前投票で、皇統問題へのスタンスの回答も参考に逢坂候補に投票した人がいたとしたら、それは「票をだまし取った」事に他なりません。

 


現時点での私の思いは以上ですが、皇室の伝統を守り尊重しつつ、今後も丁寧に議論を進めたいと考えています。


「丁寧に」「静謐な」これらは、責任回避のため先延ばしの言い訳に用いられる言葉の、完全なる典型です。

 

次世代の皇族の皆様が成年され、上皇・上皇后陛下は非常にご高齢という現在、安定的な皇位継承に関する議論は、現状でも遅すぎる、本当に一刻の猶予も許さない状況です。

 

前の記事でも書きましたが、私は今回の選挙で皇統問題を軸に立憲民主党を応援し、既に不在者投票も終えています。それだけに、しっかりと自身の考えを表明する誠実な候補も大勢いる中、(もはや考えの違いを超えて)党内でも影響力のある逢坂候補の不誠実な立ち居振る舞いに憤慨しています。

 

以上、一国民からの忌憚のない見解です。

大須賀淳

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テーマ: ゴー宣DOJO in広島「原爆の悲惨さはなぜ伝わらないのか?」

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