「光る君へ」と読む「源氏物語」
第10回 第十帖 < 賢木 さかき >
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著者・まいこさんのコメントをご紹介します!
藤壷を出家させてしまった光る君については、かなり物議を醸しているようですね。「光る君というキャラクターは、読者にどう見られてきたのか、そこに時代ごとの変化などはあったのか」について、手元にある本などで概観してみますと、藤原公任が「このわたりに若紫やさぶらふ」と紫式部に言ったので、この頃には「源氏物語」が書かれていたとされるのが1008年。「更級日記(1020~1059年)」には、光る君に熱狂し過ぎていたら、夢の中で僧侶に女人成仏についての御経を読むように諭されたと書かれていますので、当時から「こういう人にハマると、『嫉妬し、邪悪な感情がわき起って平静でいられない』から、成仏できないかも。気をつけよう」と思っていた方々がいたと考えられ、一郎の言動をきっかけとして身投げをした沙耶は、光る君の執着から逃れるために出家をした藤壺に、通じるような気もします。戦乱の多かった室町時代の注釈書は「源氏物語」は「勧善懲悪の教え」であると解釈されている一方、世の中が安定していた江戸時代の本居宣長は「もののあわれ(人情)」とはどういうものかを教えること、という解釈をしていたようです。令和の時代に、完全にコンプライアンス違反と糾弾されそうな「源氏物語」が大河ドラマに取り上げられ、小林先生の作品とも照らし合わせながら、皆さまと一緒に楽しめるのは素晴らしいことですね。
【バックナンバー】
第1回 第一帖<桐壺 きりつぼ>
第2回 第二帖<帚木 ははきぎ>
第3回 第三帖<空蝉 うつせみ>
第4回 第四帖<夕顔 ゆうがお>
第5回 第五帖<若紫 わかむらさき>
第6回 第六帖<末摘花 すえつむはな>
第7回 第七帖<紅葉賀 もみじのが>
第8回 第八帖<花宴 はなのえん>
第9回 第九帖<葵 あおい>
「光る君というキャラクターは、読者にどう見られてきたのか、そこに時代ごとの変化などはあったのか」
という疑問に即座に答えていただいて、ありがとうございます!
『夫婦の絆』と通底するところも見えてきて、ますます興味を持たずにはいられません!
そして本日は「枯レルヤ」第3回配信!
題して『若さと夢と「数字は数字」』
今回はどんな発見があるのか?
どうぞお楽しみに!!