男系に固執する論者たちの言動がどんどん皇室に対する
非礼·不敬に傾いているのは何故か。例えば、皇室の祖先神が天照大神であるという古代以来揺るぎのない
信仰上の事実すら、懸命に否定しようとする。
皇室の伝統は男系と言いたくても皇祖神が女性(!)では
ツジツマが合わない。
さすがに、その程度の自覚はあるようだ。そこで、天照大神が女性神であることを否定しようとしても、無理。
なのでやむなく、天照大神を皇祖神と認めないという非常識を、
敢えて犯すしかなくなってしまった。
その場合、天照大神以外のいかなる神が皇祖神なのか。
これまで、スサノヲのミコトとか高皇産霊尊などの神名が、挙げられていた。
その他に、イザナキのミコトの名前も登場しているようだ。しかし、これまでも繰り返し指摘してきたことだが、
その神が皇室によってどのように祀られて来たのか。
その事実を見れば結論は明らかだ。言うまでもなく、皇居内で祭祀が執り行われるのは宮中三殿(及び神嘉殿)。
イザナキのミコトがその三殿のどこに祀られているのか。
スサノヲのミコトや高皇産霊尊と同じく、他の八百万の神々と一緒に
三殿の向かって右側にある「神殿」に祀られている。
これが皇祖神に相応しい祀り方と言えるのか。一方、天照大神は一柱だけ特別に、三殿の中央に建てられ、
他のニ殿より少し大きめに造られている「賢所」に祀られている。
祀り方が全く異なる。又、イザナキのミコトを祀る神社は複数あるが、その中心となるのは
淡路島にある伊弉諾神宮だ。
しかし伊弉諾神宮は、定期的に天皇の使者である勅使が
祭神に供え物をする「勅祭社」に加えられていない。一方、天照大神を祀る伊勢の神宮は全国に16社ある勅祭社より
更に高い地位にあり、勅使の参向は他に類例が無い年に3度にも及ぶ。
更に現在、天皇陛下の妹に当たる黒田清子様が「祭主」として
奉仕されている。神宮は古代以来、絶えることなく皇室から格別の待遇を
受け続けて来ている。
一方、伊弉諾神宮が歴史的にそのような扱いを受けたことはない。先頃も、敬宮殿下が大学ご卒業と日本赤十字社への
嘱託勤務という節目を迎えられることから、3月下旬にも
神宮と神武天皇陵へのご参拝が予定されているとの報道があった。
このような時も、伊弉諾神宮にお参りされることはない。
こうした祀り方の明らかな違いを見れば、どちらが皇祖神かは
疑問の余地が無い。なお誤解を招かないように付言するが、伊弉諾神宮は
古代の法令集『延喜式』では「名神」「大」社とされ、
明治以降敗戦までの神社制度でも「官幣大社」とされており、
勿論、一般の神社に比べて手厚い待遇を受けて来た。
だが、皇祖神を祀り最高至貴とされる伊勢の神宮と比較すれば、
それに比肩するような位置付けではなかったという事実を
指摘した迄だ。伊弉諾神宮の尊厳を損なうような意図は全く無いで、念の為。
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