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2024.3.2 07:00ゴー宣道場

動物に権利はない!

こんにちはDOJOサポーターのリョービンといいます。
私は公務員獣医師として、日頃から保健所で動物愛護関係の業務を行っています。
なので、動物の権利といった問題には日頃から関心を寄せています。

そんな私ですが、ずばり、動物に権利はない!と考えています。
理由は、そもそも人権というものは国家が存在しないと機能しない概念で、動物は国家と社会契約を結んでいないと考えるためです。
国民は、国家に対し税金を納めるとか、戦争になったら戦うといった義務を有している代わりに、平和で安全な生活、つまり人権が尊重された生活を送れます。
人権が守られるのは、社会契約関係にある国家が存在するから。
国家とは社会契約関係にない動物に、権利とかいうものを適応するのがそもそも間違いなのです。
第一、動物に権利があったら野生動物の世界はもう言葉じゃ言い尽くせないくらい人権侵害の世界だということになりますよね。

じゃあ動物に権利がないなら、何をしてもいいのかというと、それは違います。
動物の管理者には、その動物のQOL(生活の質)に配慮する義務があるといえます。
動物は人間と同じように痛みを感じるから、不必要に痛めつけるのはだめ。
病気になったら苦しいからちゃんと治療しましょう。
食事や水はちゃんと与えましょう、狭い場所に閉じ込めず定期的に運動させましょう。
当たり前のことですね。

これは、動物に権利があるからではなく、動物は人間と同じ生物学的欲求を有しており、管理者にはそれに配慮する責任があると考えられるからです。
動物は管理者と一種の契約を結んでいると言ってもいいでしょう。
このような考え方はアニマルウェルフェア(動物福祉)と呼ばれ、近年主流となってきています。
アニマルライツ(動物の権利)とアニマルウェルフェアは似ているので混同されがちですが、前者は動物を殺したりするのは絶対NGなのに対し、後者はそれを許容している点で異なります。
 
実際のところ、アニマルライツの主張は非現実的な側面があるのでノイジーマイノリティーに終始するでしょう。
一方で、動物福祉や動物愛護は近年関心が高まってきており、必ずしも悪いことではないのですが、行き過ぎるとやはり問題です。
現場の感覚としては、特に動物愛護に関心が高い人ほど異論を認めないまっすぐな人が多く厄介です。
また、SNSの使い方もうまく一定の影響力を持っていたりもするので行政としても無視できない存在です。
今後、過激な愛護団体や、批判にさらされる伝統行事も増えていくのではないかと危惧しているところです。
動物愛護をめぐる昨今の情勢はなかなか荷が重いですね…。

 

 


 

 

「動物権」はあまりにも非現実的だし、そもそも肉も卵も乳製品も食べないというのがハードル高すぎるから、そんなに拡がるわけはないでしょうが、「動物福祉」や「動物愛護」の過激化は確かに心配です。
結局は、これも「バランス感覚」だといことになるわけですが…。(時浦)

 

 

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