先日、ある国会議員の集まりに顔を出して、少し驚いた。
女性天皇に二の足を踏む議員からこんな趣旨の意見が
飛び出したからだ。「憲法に杓子定規にこだわるよりも皇室の歴史と
伝統を重んじるべきだ」と。これは恐らく“門地による差別”を禁止した憲法の規定を
目のかたきにした発言だろう。
しかし、憲法を重んじること自体が皇室の大切な伝統である事実は
ご存じないらしい。しかも、皇位継承資格を「男系男子」に限定するのは、
別に皇室の伝統ではない。
明治の皇室典範以来のことで、それも側室制度と“セット”の話だった。現在の、側室制度なしで非嫡出子·非嫡系子孫の継承可能性が
排除されながら男系男子限定維持という無理筋な在り方は、
まさに前代未聞。
昭和の皇室典範から始まった全く新しいルールに過ぎない。
それにしても、この議員は憲法を軽んじる余り、
その条文に目を通してさえいないらしい。憲法第99条にこうある。
「天皇又は摂政及び国務大臣、“国会議員”、裁判官その他の
公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」
(条文中の「公務員」は“及び”の後の「国務大臣」以下を受けるので
念の為)と。しかも、この国会議員が立憲主義を標榜する政党に属しているとなると、
ブラックジョークにもならない。追記
先日のゴー宣DOJOは、早い段階で運営側にお伝えしていたとはいえ、
第1部しか参加できず残念だった。
今後は、7月に皇位継承問題をテーマとするやや大きめのイベントが
計画されているようで、中身は一切知らないが、もし私にも
お役に立てることがあれば参加するつもりだ。このイベントに先立つ6月には、既に国会で皇位継承問題を巡る
一応の決着を見ている可能性もある。
その場合、僅かでも次に繋がる成果を得て祝福的なムードになるか、
それとも惨めな敗戦後の戦線立て直しに向けての第1歩になるか。
それは勿論、今からの努力次第だろう。【高森明勅公式サイト】
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