みなさんこんにちは!(^^)
空自OBのDOJOサポーター、Kです。
先日Tさんの「丸刈りと自衛隊と私」
https://www.gosen-dojo.com/blog/45028/
を読んで空自出身の私が思い出したことを書きます。
私が入隊したのは昭和の末頃ですが、その当時も人材確保が大変でした。町を歩いていると「自衛隊に入らない?」などと地連(入隊勧誘部隊)の自衛官から肩を叩かれた経験のある人もいるのではないでしょうか。
入隊するのに一応、学科試験はありましたが「名前さえ書ければ大丈夫」みたいなことを言われた人もいるようで、まさに社会のセフティーネットだったように思います。今もそうなのかな・・・。
入隊すると教育部隊で約3か月の新隊員課程を経て各部隊に配属されます。部隊では基地内の隊舎(独身寮)で内務班生活をしながら職務を行います。
その内務班ですが、当時は一般的な教室の半分程度の広さに2台の1段ベッドと6台の2段ベッドがありました。1段ベッドは内務班長と副班長、それ以外は2段ベッドの生活です。1部屋の合計人数は14名で、この14名は家族以上の緊密さで24時間ほぼ一緒に過ごします。
私は、集団生活自体はそれほど苦ではなかったのですが、仕事が終わってから「おぃ!飲みに行くぞ!」と毎日のように基地クラブへ先輩たちと飲みに行くのが苦でした。飲んでいる途中、お酒が苦手な私がやんわり断ると「オメェ、俺の酒が飲めねぇのか」と今ではパワハラ間違いなしのこともしょっちゅう。そんな生活でもオフの日は先輩方と一緒にいろいろな所へ遊びに行ったのはいい思い出です。そして、このような共同生活が団結力を深めていったことも事実です。
しかし、上層部の考えることは違ったようです。こんな狭い内務班でプライベートもない、自由もない、外出するのも煩雑な許可が必要な自衛隊に入りたいと思う若者がいるだろうか。入隊希望者が少ないのは自衛隊生活に魅力がないからだ。もっと魅力のある自衛隊にしなければ・・・と考え、始めたのが
「輝号計画」
https://ja.wikipedia.org/wiki/輝号計画 です。
恥ずかしながら私はこの名称を最近知りました。
ようするに、今年1月に発表された「入隊時の丸刈り廃止」と同様、「生活環境の改善」や「外出制限等の緩和」により入隊希望者を増やそうとしたものです。
これらの中で、私が実感として失敗だ!と感じたのは内務班の居室をパーテーションで区切って半個室化することでした。
確かに、ある程度プライベートは保たれるのかもしれません。しかし、それ以上にマイナス面が大きかったのです。まず、居室に入った瞬間、誰の顔も見えません。誰がいるのかもわからない。コミュニケーションもとりづらい。顔が見えないので心情把握も難しい。
まさに、「共同体が崩壊し、バラバラの砂粒になった」ように感じました。
このパーテーションは営内者の評判がすこぶる悪く、ほどなくして廃止となりました。
果たしてこの失敗は生かされているのか。丸刈り廃止は功を奏するのか。注目していきたいと思います。
昔の日本の戦争映画などを見ると、内務班といえば「兵隊残酷物語」の舞台としか描かれず、すっかりそのイメージが固定されていたので、内務班の居室を半個室化するというのは現代的でいいのじゃないかという気がしたので、それが全然違うということには驚きました。
でも考えてみれば、確かに「プライバシー保護などの生活環境改善が行き届いた軍隊」なんてものがあったとしたら、とても戦争に強いとは思えませんね。
とはいえ、入隊希望者減少に歯止めをかけるにはどうすればいいのかと問われると、答えが浮かばないのが問題なのですが…。
しかし、それにしても、「輝号計画」って……。(時浦)