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高森明勅
2024.2.5 09:00皇統問題

皇位継承問題、最善から最悪まで5つの選択肢のどれで決着?

皇位継承問題が政治の場で一応の決着を迎える可能性が見て来た。
それがどのように決着するか。
100点満点でなくても一先ず少しでも良い形で決着できれば、
それは次の前進に必ず繋がる。

論理的に想定し得る選択肢は以下の通り。

①女性天皇·女系天皇が共に可能になる。
これが安定的な皇位継承に近付く唯一の正解だ。
②女系天皇は除外して女性天皇だけが可能になる。
内親王·女王が皇位継承資格を持たれるので、女性宮家も認められる。
③女性天皇は可能になるが、現在の皇位継承順序は維持される。
直系よりも男子優先というルール。
④女性天皇が除外され現在の皇位継承順序も維持されるが、
女性宮家は認められる。男性宮家と同じく、内親王·女王が婚姻後も
宮家の当主として皇族の身分を保持され、その配偶者及びお子様も
皇族とされる。
但し女系継承が認められていないので、男性宮家と異なり
お子様に皇位継承資格は無い。
⑤未婚の女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持されるが、
その配偶者及びお子様は国民という位置付け。
「皇族+国民」という世帯なので女性宮家とは呼べない。

これらのうち、①が最善で⑤が最悪であることは、改めて言う迄もない。
ところが、現在の政治状況での実現可能性を考えると、
率直に言って①についてはほぼ絶望的である一方、
⑤がそのまま制度化される公算はかなり大きい。
そこで、それをいかに④→③→②の選択肢へと押し上げるかが、
国民的な努力目標になる。

②に到達できれば愛子皇太子→天皇への道が開ける。
逆に言えば、③以下にとどまれば、その道は差し当たり
閉ざされる結果に終わる。

ここで注意すべきは、この度の国会冒頭での代表質問で、
立憲民主党が衆参両院共に皇位継承問題を取り上げ、
同党がこの問題に対して真剣に取り組む姿勢を見せたこと。
及び、それへの岸田文雄首相の答弁で「女性天皇は除外する」
旨の内容が含まれていなかった事実だ。

勿論、楽観は許されないが、これからの努力次第では
今の通常国会において②〜④いずれかの決着に持ち込める可能性も、
展望できる。

いよいよ大切な局面に入りつつある。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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