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倉持麟太郎
2023.12.31 12:31

フィクションの精神??

2023年も終わろうとしておりますが、今年も皆様ありがとうございました<(_ _)>

今年は去年の12月31日に飛び込みで知り合いの会社の社長からの緊急相談が入り、元旦から警察署にいったりして1月3日にその相談を現場で電光石火的に解決するという仕事から始まったなあ、と思い出してたら、今日も相談業務と書面作成で1日終わるやないか。こうして休みなく働かせてもらえて、今年も感謝っす!

 

さて、年内最後の倉持麟太郎『このクソ素晴らしき世界』では、ケネス・盛・マッケルウェイン先生(比較政治学)、横大道聡先生(憲法学)とそれぞれ1トピックで2023年の振り返り。

ケネス先生からは、2023年の憲法審査会分析と来年の憲法改正論議の展望をデータを交えて。与野党の一部で条文案の策定まで行ったにもかかわらずその後の議論の停滞の要因とその影響。

横大道先生からは、2023年に注目憲法判例を通じて権利保障の観点から多少の頑張りを見せる日本の裁判所と逆に反動化するアメリカ連邦最高裁の比較をしていただきました。

そして

不詳わたくし倉持からは、2023年の振り返りとして「皇位継承問題」を取り上げさせて(ぶっこませて)いただきました。2017年からの時系列(政府や国会がほとんど何も取り組んでいない!)と、2021年に有識者会議が提出した報告書の2プランのトンデモさ、そして突然動き出した2023年の空気感が2016➡2017年のご譲位のときの空気感と同じもを感じるというお話をさせていただきました。つまり、これは本気で法制化される動きだということです。

その文脈の中で、戦後最大のリベラリストの一人、丸山眞男の「フィクションの精神」について触れました。

丸山は、日本人に欠けている「主体」、特に「自己相対化主体」を形成するためのポイントの一つとして「フィクションの精神」を取り上げます。自己相対化主体というのは、丸山が好んで使う言葉でいうと「ズルズルベッタリ」ではないこと、福澤の言葉を引用していうところの「惑溺」しない主体ということです。ある一時の価値基準を絶対化してそれを唯一解として固執しない主体を求めます(なので、丸山はフランス革命のような革命には批判的です)。

で、丸山は、いわゆる現代に続く自由や権利が定位された「近代精神」というのは、フィクションの価値と効用を信じ、これを不断に再生産するものだと言います。フィクションは制度、組織、機構などであって、「うそ」とも違う。ここでいう「フィクションの精神」はフィクションの「実体化」やフィクションを絶対化する精神、フィクションの自己目的化とは真逆のもの、むしろそれらを常に排していくための精神です。

ここで取り上げた皇室「制度」も、人間がになっているとはいえ、制度である以上フィクションという側面は排除できません。ですから、この制度を維持するためには、常にこのフィクションを「不断に再生産」していかねばなりません。しかし、これを「実体化」「絶対化」してしまうと、「Y染色体」「男系原理主義」に行きついてしまうのではないでしょうか。一方で天皇はお祈りだけしていればいい、ロボットでいてくれればいい、というのもその生身の人間である天皇という存在を「実体化」している帰結だと考えます。

一方で、たとえば現在声の大きい左翼言論人が掲げる「人権」もそうです。人権もフィクションです。人権であったって「不断に再生産」を求められ、これを「絶対化」したり「実体化」して現実の文化等をなんでもなぎ倒すものとすれば、まさにそれは「自己相対化主体」たりえない、「ズルズルベッタリ」の「惑溺」した人間と堕します。

こんなお話をしたら、横大道さんも養子プランは「違憲の疑いが強いでしょう」とお話され、ケネス先生もY染色体など男系原理主義者の主張のトンデモさや女系女性天皇以外の策の不合理さについてあまりにも「まっとうに」お話されていて、あたりまえのことなのにちょっと感動しました(笑)これだよこれ!!!

是非、年末年始にモチでも食いながら(のどにつまらせるなよっ)ご覧いただけるとうれしいです!

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▶ https://www.youtube.com/watch?v=o2-HWJ1x2Tg

倉持麟太郎

慶応義塾⼤学法学部卒業、 中央⼤学法科⼤学院修了 2012年弁護⼠登録 (第⼆東京弁護⼠会)
日本弁護士連合会憲法問題対策本部幹事。東京MX「モーニングクロ ス」レギュラーコメンテーター、。2015年衆議院平和安全法制特別委員会公聴会で参考⼈として意⾒陳述、同年World forum for Democracy (欧州評議会主催)にてSpeakerとして参加。2017年度アメリカ国務省International Visitor Leadership Program(IVLP)招聘、朝日新聞言論サイトWEBRONZAレギュラー執筆等、幅広く活動中。

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