弁護士ゴー(茅根豪)です
『判断基準は「安定的な皇位継承」との関係での意味』第2回です。
去る11月22日、宮内庁の西村泰彦長官は「現時点の皇室全体を見渡すと、安定的な皇位継承という観点からは課題がある。」と発言しました。
私が「安定的な皇位継承」と聞いて直ちに思い出したのは、クライテリオン誌の「資料」(※)です。
同「資料」のシミュレーションは、男系男子のままでは、仮に(養子等で)男系男子5名体制でスタートしても、非現実的な仮定をしないと皇統が断絶する日がほぼ間違いなく来ることを示しています。
※下のグラフと表は、川端祐一郎『資料「男系男子での皇位継承」が持続する条件の試算』(啓文社書房、表現者クライテリオン、2022年3月号、107~110頁)より各引用
例えば、上記のグラフですが、男系男子が1名スタートの場合は、平均出生数が2.5と非現実的な仮定をしても、8代先には5割が滅びることを意味しています。男系男子が(養子等で)5名スタートにして、さらに平均出生数が2.5と仮定して、やっと9割以上残るに過ぎません。
出生数を冷静に1.5と仮定した場合は、1名、3名、5名スタートのどの場合でも、7から12代先には、男系男子が最後の1名となってしまっています(最後の天皇!)。
次は下の表です。
この表は、男系男子縛りだった場合の「最後の天皇の没年」はいつ頃かをシミュレーションしたものです。
最頻値は2086年~2150年頃に集中しています。男系男子縛りだと、ほとんどの場合に、今(2023年)から50~130年で滅びるということです。
ショッキングであり、直感ともズレておらず、さらに眼前の状況(次の世代の男系男子がそもそも1人しかいない状況)とも合致しており、非常に納得できる資料です。
納得できない者、つまり「男系男子で皇統は続けられるのだ。」と主張する者は、当該資料に対して正面から反論すべきです。
引用した各資料は、資料だからこそ、別な資料を提出すれば簡単に論駁できるはずです。念のため言えば、続く「べき」だとの反論ではなく、「続けられる」との反論を示す必要があります。
もちろん、「こんなの予想だろ、シミュレーションだろ、いくらでも変わるだろ!」的な反論も甚だ的はずれです。
そう言いたい人こそ、より妥当な前提を置いて、より精度の高いシミュレーションの「資料」を示して反論すればよいからです。
ところが、川端氏の「資料」価値を下げる「別な資料」の存在は聞いたことがありません。男系男子を維持すべきとする者は、真剣にそれを望むならとっくの昔に「別な資料」を出すべきでした。
誰もそんな「別の資料」を出せないのだから、男系派は川端氏の「資料」が意味する事実(男系男子だと皇統が滅びること)を黙認したも同然です。
資料の原文を読めば、著者の川端氏が客観的な「資料」となるよう多大な注意を払っていることが分かります。女系を認めるべき雰囲気は微塵も出さずに、全て男系男子が続くにはとの視点から論じています。
しかし、その真意は180度逆のことを意味している(男系は不可能だ)という構成を取っており、そこまで配慮しなければならないのかと少しだけ同情します(「資料」に基づく川端氏の「意見」もハッキリ言って欲しいな~)。
煮え切りませんが、クライテリオン誌が「資料」を載せた功績は大きいと思います。せっかく素晴らしい資料なので、皆さん、遠慮なく引用して使わせていただきましょう。
まあ、しかし、動画で拝見するとだんだんメタボ度が上がっていそうなのが心配ですが(私も人のこと言えない)、著者の川端祐一郎氏は男系男子が続かないと確信されているはずです。
同誌の編集長も同様の確信に至っているはずだと、本当は読者の誰もが感じているでしょう。
そろそろ明確に「万策尽きた」と認めてよいと思います。保守を自認する科学者として「安定的な皇位継承」に最も資する方法を明示してほしいと思います(全国民から養子とかじゃなく)。
クライテリオン誌に読者の声が届くといいな~
編集長は「万策尽きた」と言っても大丈夫だよ~って
オイラも定期購読もしてるよ~
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