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高森明勅
2023.10.14 07:00皇統問題

天皇·皇室については「あえて性差別を貫く方がよい」?

憲法の体系書として評価が高い野中俊彦·中村睦男·高橋和之·高見勝利
『憲法 Ⅰ【第4版】』(有斐閣)に、以下のような記述がある
(執筆担当者は高橋氏)。

「(男女は)平等に扱うのが好ましいにしても、
そもそも憲法が平等原則の例外として世襲を認めている以上、
(皇位継承資格を男系男子に限定する)ここでの性差別を
違憲とまではいえないであろう。

身分制が日本国憲法の基本原理と整合しないことを明確にするためには、
あえて性差別を貫く方がよいという政策判断もありうるところである」

およそ学問的な論述とは思えないほど、「世襲憎し!」の
個人的心情が露呈した書きぶりに驚く。
普遍的な価値というべき平等原則への例外は、あくまで憲法に
明文規定がある「世襲」維持の為に“必要不可欠”な範囲に
限られるべきである以上、肝心な世襲そのものを危うくする
「性差別」=男系男子限定を「あえて貫く政策判断もありうる」
というのは、憲法自体の要請に背を向ける暴論ではあるまいか。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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