新番組「歌謡曲を通して日本を語る」第一回でピックアップされた3曲、
豊川誕「星めぐり」(1975)
KinKi Kids「愛のかたまり」(2001)
King & Prince「シンデレラガール」(2018)
主な意図は「昭和・平成・令和」でしたが、それぞれがリリースされた時期は「録音方式」にも大きな違いがあり、技術的な部分だけでなく、パフォーマンスや作品にも大きな影響を及ぼしています。
「星めぐり」が制作された1970年代半ばに使われていたのは、アナログのオープンリールテープ。この時期には、既にいくつもの楽器をバラバラに録音したり、部分ごとの歌い直しなども可能ではありましたが、加工できる範囲は非常に限られているので、パフォーマンスにも高い実力が求められました。
コンピュータが出てくると、バリエーションの録音や切り貼りは「無限」に可能であり、さらに「音程」の調整も含め文字通り何でもできてしまいます。ブースやマイクといった物理的な部分を除けば、商業用のレコーディングスタジオも、個人のパソコン内のソフトも、機能や性能にそう大きな違いはありません。
こうした技術の進化に伴う質の変化には、色々な意見があるのもまた事実。しかし、道具があっても、演者はもちろんプロデュース側が多大なる才能や労力をかけないと生み出せないものがあるのは厳然たる事実です。
こうした時代の変遷をくぐり抜けてきた蓄積を持つ事務所をキャンセルすることは、単なる一企業を潰すだけに留まらず、他では作れないエンタメの生まれる場所を永遠に消し去ってしまう。
機に乗じて短絡的な正義ぶりっ子を消費している人の中で、どれ位がこの事実の重さを実感しているのでしょうか。