おかげさまで、札幌での講演はほぼ満員御礼!ご来場いただいた皆様、ありがとうございました!
今回はAI関係の技術についてお話したのですが、例えば実演で作った例がコレ
白壁の前にいるのが元の写真で、「文章での命令」を数回繰り返すだけでトロピカルな方(笑)に加工しました。「文章で」という所が重要で、細かいテクニックなどが無くても、文字通り「誰にでも」できてしまいます。
こうした(話題の「Chat GPT」などを始めとする)「生成系」の技術は、あらゆる分野で加速度的に広がっています。
現状では、実用する場合には入れる言葉の吟味や手動での修正が必要ですが、それらが不要になる日もそう遠くはないでしょう。
僕は、テクノロジーそのものは「君たちはどう使うか」という問い(笑)にどう応えるかが大事と思っており、基本的にポジティブに捉えていますが、それと同時に、ジャニーズの会見などを見ているとディストピア的な想像も浮かんでしまいます。
出演者やスタッフの不祥事により、CMどころか映画まで公開中止になるような風潮になってから「生身の人間を使うのはリスクが高い」と言われ始めています。
これは実写の役者だけでなく、アニメだって声優の不祥事で公開停止になってしまいますし、なんなら脚本や設定など何が炎上するかわかったもんじゃなりません。
キャンセルカルチャーが蔓延すると、人間がクリエイティブな行為をする事自体が「リスク」になります。
特に広告においては、娯楽や芸術のために作っているのではないので、炎上する要素を最大限に省いた生成系の素材が率先して使われる可能性が高いと思われます。
さて、現在インターネットでサイトや動画を閲覧していると表示される広告は、細かくパーソナライズ、つまり表示先となる対象の自動的な最適化が行われています。
現在は、あらかじめ用意されている広告の中から選ばれているだけですが、おそらくこの先、表示される対象によって個別に「生成」されるようになるのでは…。
例えばキャッチコピーやその他の文言も、消費行動のデータからもっとも「その人に刺さる」ものが自動生成。流暢な自動ナレーションで、人間が話しているようにアウトプットされます。
それどころか、CM動画に出演する演者も、観る人が最も好感を持ちそうな外観をリアルタイム生成。もちろん、年齢、性別、国籍ほかの属性データをもとに「地雷」になりそうな要素は予め排除されます。
AIが、広告の効果測定と生成を実行するようになれば、人間が頭をひねって手間暇かけて作るよりもはるかに安く確実に成果があがり、企業が払うは広告制作費は「作品の制作費」ではなく「アルゴリズムの使用料」となります。
こうした「生成」に満たされた社会では、偶然にみかけた人物や表現に大きく心を動かされ、人生が変化して行く事もほとんど無くなり、人は自分に「最適化されたもの」だけをメディアから流し込まれ続けて精神的フォアグラ状態に…。
ありがちなディストピア予測ですが、現実に暴走を始めているキャンセルカルチャーの前では、少しものんきに構える事ができません。
不快によるストレスや、不本意な偶然で変わる運命も、それと拮抗する気力とセットで、人生の大切な構成要素の一つ。生成物のぬるま湯に沈められるような人生には、徹底して抵抗したいです。
※案の定、台風の悪天候で飛行機が遅れる運命に翻弄されながら、これを書いています(笑)