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高森明勅
2023.8.23 08:43皇室

皇太子のお住まいは東宮御所、傍系の皇嗣のお住まいは宮邸

これまで、直系の皇太子と傍系の皇嗣の違いについて、
何回か触れて来た。

一言で言えば、皇太子は次の天皇になられることが
確定しているお立場であるのに対して、傍系の皇嗣はその時点で
皇位継承順位が第1位であるだけの、不確定的なお立場に
過ぎないということ。

だから皇太子が外出される場合は「行啓」という、
皇后などだけに使われる特別な表現が用いられるのに対して、
傍系の皇嗣なら一般の皇族と同じく「お成り」。

ここで付け加えておきたいのは、お住まいの呼び方。

皇太子なら「東宮御所(とうぐうごしょ)」で、
“…御所”というのは、天皇のお住まいに準じた呼び方だ
(この場合の「東宮」は皇太子を意味する)。

これに対して、傍系の皇嗣でいらっしゃる秋篠宮殿下のお住まいは、
皇嗣になられる前の「秋篠宮邸」のまま。大掛かりな改修工事を実施し、
建物自体は遙かに広く大きくなっても、呼び方は同じ。
他の宮家とも同じ呼び方だ。
“皇嗣御所”などという呼び方はしない。

皇太子なら「天皇」のお住まいに準じた呼び方で、
傍系の皇嗣なら「一般の宮家」と同じ呼び方。
改めて振り返ると、大きな違いだろう。

余り気付かれていないようだが、こんなところにも、
両者の違いがハッキリと示されている。
この違いは、(前代未聞の!)「立皇嗣の礼」を挙げられても
挙げられなくても、全く変わらない。
念のため。

追記

①7月23日に開催されたイベント「愛子さまを皇太子に」
を紹介した記事が
8月18日にnippon.comに公開され、
同21日Yahoo!ニュースにも配信された。

■記事URL
https://onl.tw/HLVggCT

②今月のプレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」は
8月25日午前8時に公開予定。
いつも通り同日、Yahoo!ニュースでも配信される。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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