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大須賀淳
2023.6.3 08:11日々の出来事

レンズと文脈と蛸壺と

最近のスマホって、レンズがいっぱい付いてたりしますよね。

 

上記写真のiPhoneだと、標準のレンズに加えて、離れたものを大きく写す「望遠」と、広い範囲を写せる「広角」の計3つが装備されています。

 

さて、同じ被写体を同じ大きさで写す場合にも、上記の3つで写り方に著しい差異が生じます。ちょっと、この「しんきん君」(信用金庫マスコットキャラクター)人形で実験してみましょう。

 

余談ですが、このしんきん君、前髪が軽くスネオヘアーなので、顔の上半分が暗くなって、なかなかに危険思想を持っていそうな表情になります。

 

さて実験実験。これは標準のレンズで、人形がほぼ縦一杯になるように写したものです。

 

これは望遠で、人形の大きさが大体一緒になるよう距離を調整して撮影。

 

そしてこれは、広角。背景がずっと広く鮮明に写っています。

 

人形自体はほとんど一緒なのに、印象と情報量がまるで違いますね

 

これは「どれが正解」といった絶対的なものはなく、人物だけを強調したいポートレートであれば望遠、同じモデルでも例えば「パリの街角にいる○○」みたいな意図なら広角を使います。

 

私たち映像をやっている人間はこうした特徴を意図してレンズを使い分けますが、それは他でもない「文脈」に沿った表現を行うため。レンズの工学・光学的な理系の「専門知識」と、広告だったらコンセプト、映画だったらストーリーといった文脈要素の読解力の両方を、経験も加味した上での総合知として使って初めて結果を生みます。

 

最悪なのは、道具のスペックやブランドばかりに固執して、結果としての作品の質を毀損してしまう事。ヒドい輩になると、どう観ても出来の悪い作品をドヤ顔で「これは○○で撮ったんだぜ!」と自慢したりしますからね。そういうヤツは一生自分の蛸壺の中で勝手にやってほしい

 

…あれ?なんか、同じような事があちこちで起きて、日本を蝕んでいる気がするなあ…。

 

どーん!

大須賀淳

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