男系限定論者が唱えて来た唯一の方策だった旧宮家プラン。
元々、旧宮家系国民男性がそのまま新しく皇籍を取得できる制度を
設けようとしていた。昨日まで国民だった人物が、法的措置だけで今日からは皇族という、
非常識な提案だ。それを旧宮家の“復活”とか、旧皇族(!)の皇籍“復帰”
という不正確な呼び方をしていた。しかし、問題だらけの有識者会議報告書でさえ、さすがにそれは
無理だろうと事実上、取り下げた格好だ。「現在の皇室にいらっしゃる皇族方と何ら家族関係を有しないまま
皇族になることは…(養子縁組プランに比べて)より困難」(13ページ)
と書いている。そこで後退して、現在の宮家と家族関係を取り結ぶ「養子縁組プラン」
が浮かび上がった。
しかし、これも憲法(第14条第1項)が禁じる「門地(血筋・家柄)
による差別」に該当することが指摘された(東京大学教授・宍戸常寿氏、
元内閣法制局長官・阪田雅裕氏など)。その指摘に対して、説得力のある反論は遂に出されないままだ。
その結果、もっと後退して内親王との婚姻(によって下駄を履かせ、
皇籍取得への国民一般の心理的なハードルを下げる)という“願望”が、
より声高に語られることになった。八方塞がりの果てに、その勝手な願望をあたかも事実であるかのように
週刊誌に持ち込んで、既定路線化を図るという悪あがきをする人物も、
現れたようだ。
旧宮家プランがいよいよ“袋小路”に追い込まれた証拠だろう。
商売ネタとしてそれに飛び付いた週刊誌もあったらしい。
しかし、肝心な旧宮家の「お相手(?)」本人やその両親への
直接取材は皆無どころか、本気で取材をしようとするポーズすら見えない。最近の「FRIDAYデジタル」(3月16日配信)の記事を見ると、
週刊誌界隈でもまともに相手にされていないのが分かる。「『お相手に浮上』とか、そういった具体的なことは全くありません」
火のない所に煙を立てようとして、早々と“鎮火”させられるお粗末さだ。
しかし、当事者のお気持ちに沿ったご結婚を妨げかねない、この種の
不敬・非礼な策謀が決して許されないのは、言うまでもない。
政府から国会に“ボール”が投げられて既に1年余り。
今のところ事態はほとんど動いていない。
しかし政治が動く前に、旧宮家プランが「門地差別」という悪質な
憲法違反である事実が国民の間で周知されれば、政府・国会が実際に
採用し得る選択肢は、自ずと限られるはずだ。【高森明勅公式サイト】
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