金城氏のメッセージに対して、門下生メーリングリストより意見を紹介します。
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金城氏の「女性は家庭を守り男性が外で働く」という意見ですが、
働き蟻や働き蜂が雄だと言う誤認だけでなく、前提にしている事実認識が
他にも間違っておりますので、ここで指摘しておきたいと思います。
1.「男性が得意な分野、女性が得意な分野がある」について
以前は「男性の脳と女性の脳には構造的な違いがあり、考え方や得意な
ことも異なる」と言われておりましたが、現在この考えは科学的根拠の
ないものとして否定されています。
https://style.nikkei.com/article/DGXZQOLM276XJ0X20C22A5000000?page=3
確かに男女の脳や能力・思考に違う部分もありますがそれはわずかな
違いで、性差よりも個人差の方がはるかに大きく、男性が得意な分野、
女性が得意な分野という区別はできないとされています。
医師ならば正確な知識を持っているべき脳の話について誤った認識を
持たれているのは、蟻や蜂の話と同様に残念なことです。
2.「女性が家庭に入る事で分母が減って給料単価が上がる」について
この主張は労働力の供給が減れば給与が上がるということを前提として
おりますが、日本の現実は違います。
日本の生産年齢人口は、少子高齢化により1995年をピークに減少し
続けており、現在は慢性的な労働力不足の状態にあります。
にもかかわらず、この20年間、日本の平均給与は一時期を除き長く
減少傾向が続いてきました。
労働力の供給過多により給与が下がったわけではありません。
経済のグローバル化によって、日本の労働者が海外の安い労働力との
競争を強いられ、それが賃金を抑制する要因になった側面はあるかも
しれませんが、少なくとも男女間の競争の結果でないことは確かでしょう。
3.「女性が家庭に居る事で子供も産みやすく、子供をきちんと躾けられる」について
これはまさに「良妻賢母」思想ですが、良妻賢母という考えが日本で登場
するのは明治になってからで、西洋の近代化に影響を受けて成立したもの
です。
つまり「良妻賢母」は、近代国家形成に必要な「優良な」国民の育成を
意図して生まれた近代のイデオロギーであって、歴史を通じて普遍的な
考えではありません。
近代日本で「良妻賢母」思想が生まれ発展した経緯については、様々な
研究があります。
こういう歴史的背景を知らず、真理として捉えることには問題があるでしょう。
以上のように金城氏の論理は、ご自身に都合がいいように事実を書き換え
ることで成立していますが、これは公的な視点であるべき論を論じるの
ではなく、ご自身の願望を真理としたいが故に起きていることだと
思います。
このような論の進め方は、新コロを死に至るウイルスとして恐怖を
煽りインフォデミックを引き起こした連中と同じではないでしょうか。
(りょうさん)