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高森明勅
2022.9.9 11:23皇統問題

憲法が要請する安定的な皇位継承への望ましい在り方とは?

皇位の安定継承を目指す方策を巡って、
“現実的な”(=妥当かつ実現可能な)検討を行う場合、
最も基礎となる条件は何か。改めて言うまでもなく、
憲法上の要請に他ならない。

では、皇位継承の在り方への憲法の要請とは
具体的にどのような内容か。
そのポイントはおよそ以下の通り。

〇天皇が「日本国の象徴」であり、「日本国民統合の象徴」
であられることを憲法が規範として要請していることから
(第1条)、その地位は尊厳であり、超越的であらねばならない。
その為には、天皇・皇室と国民の“区別”を揺るがせにしてはならず、
皇室の「聖域性」が厳格に守られねばならない。

〇憲法が皇位の「世襲」継承を要請し、その世襲概念には、
男性・女性、男系・女系がそれぞれ含まれる以上(第2条)、
側室が不在で非嫡出子・非嫡系子孫の継承資格が
認められない条件下では、世襲継承を行き詰まらせてしまうことが
明らかな現行皇室典範の「男系男子」(典範第1条)という
皇位継承資格の限定を見直すことは、憲法それ自体の
要請と理解すべきだ。
皇室典範は憲法の附属法にとどまり、
憲法の方が典範より上位にあることは改めて言うまでもない。

〇憲法は“国民平等”の原則に立脚しており、
全ての国民について「門地(家柄・家格)による差別」を
禁止しているので(第14条第1項、国民とは厳格に区別された
特別なお立場にあられる皇室の方々のみが例外)、
純然たる国民である旧宮家系男性など“だけ”が養子縁組
その他の法的措置によって、婚姻を介することなく、
特権的に皇籍取得が可能となる制度は憲法上、認められない。

以上を総合すると、おのずと“1つの解答”に
導かれることになる。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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