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高森明勅
2022.6.13 09:00皇室

天皇陛下は人をなごませる雰囲気は早くからお持ちだった

引き続き、天皇・皇后両陛下をめぐる逸話を
(『文藝春秋』令和元年11月号、証言者の肩書きは当時)。

「陛下は1991年、国際比較文学会の東京大会に御臨席くださり、
内外800人ほどの出席者を前に、テムズ河と瀬戸内の
海上交通の比較について英語で実に見事なスピーチをされた。
ことに外国からの会員は感嘆しきりであった。
私は学者としての陛下の『出発点』を見る思いがして
本当に嬉しかった」(東京大学名誉教授の芳賀徹氏)

「陛下が小学4年生になった時に東宮職からスケートの
指導をお願いできませんかと電話をいただき、
お引き受けすることにしたのです。
最初は陛下がアイスホッケーをやりたいとおっしゃったのを、
美智子さまがスピードスケートならばと説得されたそうです。
初めて練習場で陛下にお会いした時は、大変緊張しましたが、
人をなごませる雰囲気を当時からお持ちでした。

陛下は本当に模範的な生徒でした。
真面目で練習熱心。
秋篠宮殿下も一緒に指導したのですが、対照的にやんちゃでした。
…その後、陛下は雅子さまとご結婚されました。
…雅子さまはとてもスケートがお上手で、こ
ちらで教えることが何もないぐらいでした。
お二人で仲睦まじく滑っている様子はいまだに
鮮やかに目に焼き付いております」
(元スピードスケート日本代表の長久保初枝氏)

「(陛下が英国ご留学当時、日本人仲間でテニスを楽しんでおられ)
そこには外務省や金融機関などから留学している人もいれば、
陛下と一緒に来ている侍従やその家族も参加していました。
その中にあって陛下のテニスの実力はずば抜けており…
『どうしてそんなにお上手なのですか』と訊ねたら、
プロテニスプレーヤーの佐藤直子さんにレッスンを
受けているとお聞きし、『そりゃ敵うわけがない』
と笑い合ったことがあります。

ただその時に陛下は、こうもおっしゃいました。
『私より、弟(秋篠宮殿下)の方がよほど強いんです。
彼は関東大会でベストテンに入る腕前ですから』
自分のことよりも弟を立てる兄としての優しさが感じられて、
微笑ましく思えたものです」
(大阪大学微生物病研究所所長・分子ウイルス分野教授の松浦善治氏)

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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