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笹幸恵
2022.1.5 00:22皇統問題

国民民主党の皇位継承研究会

立憲民主党に続き、国民民主党も皇位継承問題について
協議する研究会を設置するという。
だが、玉木代表の言っていることがおかしい。

有識者会議の報告書に盛り込まれた2案のほかに、
「法律に基づいて旧皇族の男系男子が皇籍に復帰できる案も
検討すべき」と表明している。

有識者会議の報告書では、次の2案を
「皇族数の確保を図る観点」から取り上げている。

(1)内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持する

(2)皇族には認められていない養子縁組を可能とし、
皇統に属する男系の男子を皇族とする

しかしどちらも、大きな問題を孕んでいる。

(1)は、女性皇族が家族を持ったとしても夫や子供は一般人で、
女性皇族だけは皇族の身分というもの。
果たしてそんなことが一つの家庭で可能なのか?
真っ先に私が疑問に思ったのは、「じゃあ家族旅行はどうなるの?」だ。
皇族の身分である妻(あるいは母)だけはいつも別行動???
あまりに非現実的だ。

(2)は、養子縁組を希望する宮家も一般国民である男系男子も
果たしているのか?という疑問がある。
一般国民が、養子縁組で「ハイ皇族になりました」って、
君臣の別はどこに行った??? どう考えても無理筋だろう。

そして、上記2案とて、安定的な皇位継承という論点を避けて
「皇族数の確保」に逃げた結果だ。

玉木代表の言う「法律によって旧皇族の男系男子を皇族にする」は、
有識者会議の報告書では(3)として取り上げられている。

(3)皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること

だがこれは、国民の理解と支持の観点からは困難だとして、
「(1)および(2)の方策では十分な皇族数を確保することが
できない場合に検討する事柄」とされている。

要するに国民民主党は、逃げ腰かつ論点ずらしの有識者会議すら
採用しなかった無理筋案を検討すべきだと言っているのだ。

玉木代表は「現実的で具体的な解決策を提案する」と語っている。
旧宮家の男系男子という時点で少しも現実的ではないのだが、
それでも具体的な解決案を提案できるというなら、
ぜひとも提示してほしい。

いない人の話をしたってしょうがないのだから、
現実的で具体的な人物をまずは出しなさい。
「いるいる詐欺」にならないか、注視しています。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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