本来、皇位の安定継承を可能にする制度のあり方を
検討する課題を担うはずだった有識者会議。
しかし、その設置目的を自ら否定し、無理筋で現実味のない
皇族数の確保策(?)に逃げ込んだ。どうして、そんな不誠実で情けない結末を迎えることになったのか?
《旧宮家案は皇位の安定継承に寄与しない》
その謎を解く手掛かりは、旧宮家案に通じる国民の中の
皇統に属する男系の男子を養子縁組で皇室に迎える案を、
皇位の安定継承への方策ではなく(!)
あくまで“皇族数確保策”として、同会議が位置付けている事実にある。この事実は、側室制度が無く、非嫡出・非嫡系による
皇位継承の可能性が排除されている条件下で、継承資格を「男系男子」
に限定していては、その方策によって安定継承が決してもたらされ“ない”のを、
同会議が十分に承知していることを示している
(改めて指摘するまでもなく、皇位の継承と宮家の存続は、
共に側室制度に支えられて来た)。更に、内親王・女王がご結婚後も皇族の身分にとどまられても、
そのお子様が皇族の身分を持たず、当然、皇位継承資格も無いという
無理な制度も、もっぱら“皇族数確保策”とされているように、
それが皇位の安定継承に何ら寄与しないことも分かっているのだ。逆に言えば、それら“以外”こそ、
皇位の安定継承に有効な方策であることを知っている(!)と考えねばならない。《女性・女系天皇という正解を知っていた》
しからば、有識者会議がヒアリングで提示した選択肢から、
上記のプランを除いて残る有効な方策とは何か。
女性・女系天皇、女性宮家だ。つまり、同会議は皇位の安定継承への“正解”を
とっくに知っていたとしか考えられない。むしろ、女性・女系天皇、女性宮家を認めなければ
皇位の安定継承は確保されないこと(皇位の安定継承への方策=女性・女系天皇
と女性宮家、小泉内閣に設置された「皇室典範に関する有識者会議」の
報告書の結論)を知っていた。だからこそ、(頑固な男系派の反発を恐れて)政治的配慮からそこに
“手を着けない”為に、安定継承という肝心な課題から全面撤退して、
敢えて無理筋で非常識な皇族数の確保策(?)に迷い込まざるを得なかった。―そういう結論になる。
何とも情けない話だ。
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