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笹幸恵
2021.10.6 23:41皇室

腹黒いつぶやきを世に発信する恥ずかしさ

本日ヤフーに配信されたデイリー新潮の記事、
国民の声を“誹謗中傷”呼ばわりで炎上 眞子さまのご希望通りだった「複雑性PTSD」発表
これがまたヒドイ。

宮内庁が発表した眞子さまのご病状や
その原因が国民の誹謗中傷だという点について、
内容の検討は眞子さまご自身がなさったこと
さらにそこには小室さん母子の存在が見え隠れする……という、
いかにも週刊誌的な引っ張り方で明日の発売につなげる内容。

まずリードで驚いた。

さも眞子さまが国民の声を“敵視”されたかのような発表だが、
世論の反発を招きかねないこのような表現を、
宮内庁はなぜ止められなかったのか。

いやいやいや、普通、PTSDだと発表されたのなら、
まずもってご病状はどうなのか、心配するのが先だろう。
それを「敵視」と受け取るとは、どういう心理?
「世論の反発」って、このタイトルこそ、
それを煽っているでしょうが。

私はニュースで、眞子さまが何年も前から一時金について
憂慮されていたということを知って、
胸がえぐられるような気持ちになった。
人知れず苦しんでこられたのだ。
まだ20代の女性が。
皇族なら何を言われても平気、
何をしても構わんとでも思っているのか?
心身に影響を来たすほどの「つらさ」に耐え続けて
きたことへの想像力はないのだろうか。

こうした週刊誌の煽り手口に乗っかって、
夜10時の時点でヤフコメ8000件以上。
最初の頃のコメントは、この記事の悪辣さを
批判する内容が目立ったけれど、
途中から目を覆いたくなるような書き込み。
バッシング記事を素直に受け取る人が多すぎる。
バカなのかと思うくらい素直だ。

「いい年したオトナなのに自己中」
「国民の切望を雑音扱いするな」
「正常な判断ができていない」
「我慢することを知らずに育ったんだな」
「PTSDの人に謝れ」
「幸せになってほしいから国民は声をあげている」
「言論統制だ」
「記事は読まなくてもマインドコントロール
されているのがわかる」
「皇族としての資質に欠けている」
「秋篠宮家の金の流れを追求しろ」

ほとんど反射的に自分の中に湧き出てきた
腹黒いつぶやきを書き込むって、本当は
とっても恥ずかしいことだ。
人間の醜い部分が露わになる。

売れさえすればいい、という週刊誌のバッシングも
もはや度を越えている。
これが売れるのだから、さらにバッシングは続く。
便所の落書きで何かを言ったつもりになっている、
上から目線をやめられない国民の劣化が
これを招いている。

「誹謗中傷だと!?けしからん!!」
と思っているそこのあなたへ。
眞子さまはそれでも何が誹謗中傷なのかを
明らかにできないお立場なのだということを、
ちょっとでいいから想像しよう。
「けしからん!」などと言うこともできない
お立場であり、それがどういうことか、
少しくらい考えろ。

まず自分が正義であると思い込むのをやめなさい。
みっともない。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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