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小林よしのり
2021.8.15 10:43日々の出来事

『戦争論』の凄さとは?

終戦記念日だそうだ。関口宏の番組で、半藤一利を
紹介していた。
「日本の一番長い日」は凄い作品だった。
膨大な知識量があるから敬意を払うが、「サヨク」なのが
残念だ。

戦争を語るときは、必ず敵国の方も断罪しなければ
ならない。
自国だけが愚かな悪だったという判定ならば「サヨク」
である。
敵国だけが悪だったというのは「ウヨク」である。
だが、どっちもどっちだったというのは「価値相対主義」
であり、「サヨク」である。

大東亜戦争とは何だったか?という問いと、戦争とは
何なのか?という問いは別物である。
問いの立て方からして共通理解を得られぬまま議論
するから、建設的な議論にはならない。

「大東亜戦争」という名を使えば「右翼」という偏見まで
出来上がっているようでは話にならない。
「太平洋戦争」という名は、戦時中に使っていない。
わしは歴史的に使われた名前だから、「大東亜戦争」
を使っているだけで、戦後教育で育った秀才は絶対
「太平洋戦争」を使う。

太平洋を挟んで日本とアメリカが戦った戦争ではない
のに、アジア全体を巻き込んでいたにも関わらず、
「太平洋戦争」を使うこと自体が、わしは主観を失って
いる日本人だからだと、見ている。

このように、先の戦争に対する「観念」がそもそも全然、
違っているから、日本人の共通理解に達するのは、
相当難しい。
わしが描いた『戦争論』はその基本的な立場が、
我ながら見事だと思う。
「主観」がはっきりしていることと、戦後教育に洗脳
されていないこと、これが『戦争論』の凄さであり、
歴史に残る書物だと確信している。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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