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泉美木蘭
2021.8.4 13:33

空床補助金を受け取りながら、患者受け入れない病院

7月31日の日経新聞の記事『空き30万病床の転用進まず』に、
2類感染症として扱わなければならない状態にしておきながら、
病床があちこちに分散しており(それが普通の状態ですが)、
結局、空き病床があっても対応できないという話になっていること、

そして、東京都では、入院患者の数は確保病床の半分にすぎないのに、
すでに一部病院からは悲鳴が上がっている、というようなことが
書かれていますが、ここに、並列して、

ある病院関係者は「政府の補助金を受けて病床を
確保しながら、
積極的に患者を受けない病院がある」
と明かす。

と書かれています。
これ、さらっと流されているけど、
本当ならば大問題ではないのでしょうか?


同じ話が、ネット上で発言している医療関係者からも出ています。
誠実な病院はすでにコロナと通常診療の両方をこなしているが、
医師として医療ひっ迫を煽っておきながら、
裏では患者を断って黒字化している病院がある、
確保病床を偽って、補助金を受け取りながら、
実際には半分以下の患者しか受け入れていない病院があるなど。

ネットの声だけじゃないです。
最近、医師の方からまったく同じ話を直接聞きましたし、
そもそも、こういった話を聞きはじめる以前、
私は、去年の段階で、都内近郊のある病院に勤めていた
看護師の友人から、

「コロナ病床だということにして、空床にしておくだけで、
病院には1床につき1日4万円の補助金が入る。
それで、病棟ごっそり空床にするように言われたんだけど、
いざ受け入れ要請があると『人手不足』を理由に断っている
ようだ。ひどい本末転倒」

という話を聞いていました。
患者を受け入れるつもりのない空床なら、
それは「空床確保」とは言いません。
現状、病院に対する空床補助金は、次の通りです。

▽重点医療機関・協力医療機関
ICU:30万1000円
HCU:21万1000円
その他の病床:5万2000円
療養病床である休止病床:1万6000円 (いずれも1日当たり)

▽一般の医療機関
ICU:9万7000円
重症者・中等症者病床:4万1000円
その他:1万6000円

友人が話すのを聞いていたときは、
どうもわざとやっているようだし、よっぽど悪質な病院だなと
思っていたけど、その後もあちこちから話が出て、
実はこういう病院はほかにもあるのではと思えてきました。

その上、いよいよ日経新聞が記事にする段階になっているのなら、
このような空床補助金詐欺が疑われる病院に対しては、
本格的に国が査察に入ったほうがよろしいのでは?

受け入れるつもりがないのに、空床を申請していたのなら悪質だし、
医師として、応召義務違反に当たるとも思います。

一方で、飲食店には、酒を出すな、休業しろ、罰金を取るぞといって、
行政の職員が監査にやってきたりしています。
おかしいですよね?

ひっ迫だ、医療崩壊だと騒ぐレベルだというならば、
まず病院に対して、受け入れ命令を出すべきです。

 

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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