目先だけの皇族数の確保に「転進」した有識者会議。
今は事務局での調査・研究に移った。
その「事務局において制度的、歴史的観点等から調査・研究を行うべき事項」
を見ると、色々驚くような内容が書いてある。《皇室に家族ぐるみで養子に入るプラン?》
例えば、「皇族の養子縁組を可能にすることで、(国民の中に数多くいる)
皇統に属する男系の男子が皇族になることを可能とする」プランについて。「(対象となる)養子に配偶者・子がいて全員を皇族とする場合」
も可能性として想定している。
これは、ヒアリングで櫻井よしこ氏が一家全員が皇室に入るケースに
言及されていた(第2回会合、4月8日)のを踏まえたものだろう。
しかし、このプランは余りにも常識外れではあるまいか。
男系限定維持を長年唱え続けて来られた有力な論客の百地章氏でさえ、
以下のように述べておられる。「家族養子というような話もこれまでに出たようであるけれども、
私は、それでできれば結構だと思うが、ちょっとハードルが
高いのではないかと」(第4回会合、5月10日)。
学者らしくやや控えめな言い回しながら、ハッキリ疑念を呈しておられた。《皇室の「聖域」性をどう守るか》
このプランの異常さは、次のような光景を思い浮かべると理解しやすいだろう。
正月に毎年、皇居で行われている新年一般参賀の際に、ある年から急に、
国民が知らない一家が宮殿のベランダに立って、皇室の皆様と一緒に
手を振って祝賀に応える、という光景だ。
これはさすがに違和感が強すぎるのではないか。国民の皇室への素直な敬愛の気持ちをどう考えているのか。
“目先だけ”の皇族数を確保する為なら、皇室の尊厳も「聖域」性も、
全て犠牲にしてよいと考えているのか。
国民の中には(旧宮家系に限らず)「皇統に属する男系の男子」が数多くいる。
そうであればこそ、皇室と国民の厳格な区別を、ゆるがせにしてはならない。
その為に、一旦、皇族の身分を離れられた方及びその子孫が
再び皇籍を取得することは、たとえその方が天皇の直接のお子様
(皇子)であっても認めない、というのが皇室典範のルールだ(第15条)。それなのに、遥かに血縁が遠く、民間で長く生活を続けて来た一家を、
丸ごと皇室に迎え入れるという異常なプランが、内閣に設置された
諮問機関でのまともな検討対象に加えられるとは。呆れ果てる。【高森明勅公式サイト】
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