皇位の安定継承を目指す有識者会議。
いささか意外と言っては失礼かも知れないが、
会議メンバーのヒアリング対象者への質問が面白い。“1代限り”の女性(男系女子)天皇を提案された
京都産業大学名誉教授の所功氏に対し、次のような質問。「男系女子まで皇位継承資格を認めるという考え方に対しては、
抜本的な皇位継承の安定化につながらない、やはり女系まで認めることが
安定した皇位継承につながるのではないかという意見もあるが、
どのように考えるか」これは、まさに私の「意見」と同じ。
これへの所氏の答えは、以下の通り。
「この先どうなるかは、実のところ誰にも分からない。
今つくづく思うのは、男系男子がおられたら安心かというと、
三笠宮家の場合、立派な男子が3方おられたにもかかわらず、
お父さまより先に亡くなってしまわれた。
そういうことが、この医学・医療の進歩した現代でも
起きていることを忘れてはならない。
必ず男子が得られることを前提にして、男子だけで継ぐという
規定を続ける限り、万一の事態に対処し難くなる」と。この発言の限りでは、確かにその通り。
だが、「男子だけで継ぐ」のは限界があるので「男系女子」にも
皇位継承資格を認めよう、という所氏の提案を踏まえて、
会議メンバーは、更にその“先”を問うている。「男系女子」が即位されても、そのお子様に(男女を問わず)
継承資格がないのであれば、継承の行き詰まりを僅か“1代だけ”
先延ばしするに過ぎず、「抜本的な…安定化につながらない」と。上記の回答は、ご自身の元の意見をただ繰り返されただけ。
質問自体には何ら答えていない。
と言うより、恐らく答えられなかったのだろう。
会議メンバーが取り上げた「意見」こそ正解なのは、
同氏もちゃんと理解しておられるはず
(もしそうでないなら、真正面から反論されたに違いない)。なので、学者の矜持にかけて、政治的パフォーマンスとして
“否定”するような真似は、できない。
しかし、そうかと言って、“肯定”すると、ヒアリングで述べた自分の
(“匍匐〔ほふく〕前進”的な)提案を、自ら否定する結果になってしまう。結局、イエスともノーとも言えないので、
上記のごとき、はぐらかしたような回答をせざるを得なかったのだろう。
それにしても、会議メンバーの質問には、
大切なポイントを衝いたものがあって、頼もしい。【高森明勅公式サイト】
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