現在のわが国の最大の政治課題は、皇位の安定継承を目指す
皇室典範の改正だろう。しかも、既に具体的な取り組みが動き始めている。「先延ばし」を続けて来た政府を追い詰めて、やっとこの局面にまで持ち込めた。まさに千載一遇の好機だ。しかし、もしこれが挫折すれば、現在の皇室の方々の年齢構成から考えて、取り返しのつかない事態に陥りかねない。問題の所在、その解決方法、政府はとっくに、全て正しく理解しているはずだ。小泉純一郎内閣の時の「皇室典範に関する有識者会議」の報告書は、骨格において私の提言を採用してくれたと考えている(又は、それ以前から政府は独自に「正解」に辿り着いていた)。あの報告書を越えるロジックは、今も政府として持ち合わせていないはずだ。今回の有識者会議で、それを上回るロジックを提出できるか、どうか。恐らく、(両論併記に逃げ込むことはあっても)先の報告書を根本的に書き換える結果にはならないだろう。これまでの各種世論調査の結果では、同報告書の方向性を支持する国民が圧倒的に多い。政府は既に「正解」を掴んでいて、多くの国民もそれを支持している。だから普通に考えると、「正解」に基づく制度改正に二の足を踏む必要など、どこにも無いはずだ。にも拘らず、政府はこれまで「先延ばし」を続けて来た。それは何故か。明らかに、一部の頑強な抵抗への政治的配慮によるものだ。よって残る懸念は、政治家が得意な「足して二で割る」やり方を、皇位継承という尊厳かつ重大無比なテーマにも、平気で持ち込んでしまう危険性があることだ。それを許さない為には、世論調査の結果だけでなく、皇室を敬愛するサイレント・マジョリティーが、はっきりと“声”を挙げる必要がある。まさにサイレント・マジョリティーからボーカル・マジョリティーへ。それが求められている。【高森明勅公式サイト】