去る4月8日に、国民民主党の山尾志桜里衆院議員が
退位特例法の附帯決議に応える為の有識者会議に関し、
以下の3点について質問主意書を政府に提出された。
およそ次のような趣旨の質問だった。①皇位継承の順位について、「現在の順位を変えない」
ことが前提になっているのか?
②ヒアリングの聴取項目に「(現在、皇族でない)皇統に属する男系の男子」
とある(項目9)のは、いわゆる旧宮家に限定されないように読み取れるが、
どのような対象を想定しているのか?
③今後のスケジュールについて。これに対し、政府から4月20日に答弁書が示された。
回答はおよそ以下の通り。①「(附帯決議に示された課題について)予断を持つことなく
議論していただきたいと考えている」。
②「具体的なものが念頭に置かれているものではない」
③「落ち着いた議論をしっかり行っていただきたいということで、
スケジュールというものを具体的にお示しをしているわけではございません。
そうした進め方を含めて、会議のメンバーの皆さんに、
附帯決議も前提によくお考えいただきたい」
(加藤勝信内閣官房長官、令和3年3月26日、参院予算委員会)
との答弁の通り。この度の山尾議員の質問主意書の提出による最大の成果は、
①において「現在の継承順位を変えない」ことを「前提」として
“いない”旨の明確な回答を得たこと。
この言質が取れたことの意味は大きい。そうした「前提」が無いのであれば、
私がこれまで主張して来た「ゼロベース」での検討が
可能になるはずだ。②は、ほとんど見逃されているようだが、
有識者会議の聴取項目に取り上げられているのは、
従来唱えられて来たいわゆる「旧宮家案」ではない。
旧宮家系男性に限定せずに、皇統に属する男系の国民男性を広く
皇籍取得の対象とし得るプランだ(この点、ヒアリング対象者自身が
余り気付いていないように見えるのは、いささか奇妙)。
今回の答弁で、旧宮家に限定して“いない”ことが確認できた。
これは、皇室と国民の区別を曖昧にする同プランの「問題性」を、
より浮き彫りにするものと言える。③への回答で附帯決議に言及しているのは、
同決議に「先延ばしすることはできない重要な課題」
「速やかに国会に報告する」などとあるのに配慮する姿勢を
示したものだろう。少なくとも皇位継承の行方を巡り、このタイミングで、
かくも見事にポイントを衝いた質問を、スピード感を持って
政府に突き付けられる政治家は、今の国会では山尾議員以外に
余りいないのではないか。
とても残念なことだが。
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