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高森明勅
2021.4.2 06:00皇統問題

有識者会議「前提」ある?無い?

退位特例法の附帯決議に応える為の有識者会議。
ところが、一部の報道では「前提として現在の継承順位は変えない」
という。

しかし、それでは議論の幅が一挙に狭まる。
現に、同会議が既に公表してた、専門家ヒアリングでの
(バランスが取れた網羅的な)「聴取事項(案)」とも
矛盾してしまう。

例えば、問5では内親王・女王に皇位継承資格を認めた場合の
「継承順位」を尋ねている。
これへの回答次第で、現在の継承順位は当然、変更を迫られる。
問6の、女系に継承資格を「拡大」する場合についても同様だ。
さすがに問9の、皇族でない「男系男子」の皇籍取得を
可能にする場合は、変更の可能性は(論理的にゼロではないにせよ)
現実的には考えにくいだろう。

現在の皇族(秋篠宮殿下、悠仁親王殿下)より、
今、国民として生活している人物(旧宮家系の誰か?)を
優先することになるからだ。

それにしても、上述のように、ヒアリングの聴取項目を
予め無効にしてしまう「前提」を、本当に設けているのだろうか。
もしそうであれば、聴取項目はあくまでも建前に過ぎず、
ヒアリング自体が見せ掛けだけのセレモニーになる。
そもそも、そんな前提を設けた小手先の対応では、
皇位の安定継承を求める附帯決議に応えることが出来ない。
私としては、一部の報道は事実でないと信じたい。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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