高森稽古照今塾の受講生からこんな質問があった。
「皇室経済法は、少なくとも“一代限り”の女性宮家については、
既に認めているんですか?」と。同法第6条第3項第3号には「独立の生計を営む内親王」に
支出される皇族費の金額が定めてある。
「女王」についても、同項第5号に規定がある。
これらによって、同法が内親王・女王が「独立の生計を営む」可能性を
認めていることが分かる。
ご独身であっても、宮号(みやごう)を賜って、独立の生計を営まれた
桂宮(かつらのみや)の例がある(昭和63年1月1日より)。
三笠宮家のご次男だった宜仁(よしひと)親王のケースだ。ちなみに、同宮家のご長男だった寛仁(ともひと)親王の場合は、
ご結婚により独立の生計を営むことになられたが、
やがて三笠宮家のご当主になられるはずだったので、
宮号を賜らなかったものの、宮家に準じた扱いを受けておられた
(結局、ご当主になられる前に亡くなられたが)。ちなみに三笠宮家の現在のご当主は、
崇仁(たかひと)親王妃百合子(ゆりこ)殿下。
将来、もし内親王・女王がご独身のまま、独立の生計を
営まれることになった場合、それを事実上の“宮家”と見ても
特に支障はあるまい(宮号を賜れば文字通り宮家)。
ご独身なら当然、一代限り。
そのような意味では、皇室経済法は既に“一代限りの女性宮家”を
認めているとも言える。しかし、これまで皇位の安定継承との関わりで議論されて来た
「女性宮家」は、そのようなものではない。
未婚の女性皇族(主に内親王)が、“ご結婚後”も皇籍にお留まりになり、
ご自身を当主とする宮家を設けることを意味する。
「一代限り」の場合は、その宮家のお子様が男女いずれであっても、
又何人おられても、宮家を継承したり、新たに創設したり出来ない
(かなり不自然な)制度を指す。勿論(もちろん)そのような制度では、皇位の安定継承や
皇族数の減少には、何ら寄与し得ないことは言う迄もない。
いずれにせよ、内親王などがご結婚後も皇室に残り得る女性宮家を
創設する為には、やはり皇室典範第12条・第15条の改正が不可欠だ。【高森明勅公式サイト】
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